総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和5年版 > データ流通を支える安全で強靱な通信ネットワーク
第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第2節 豊かなデータ流通社会の実現に向けて

1 データ流通を支える安全で強靱な通信ネットワーク

近年、我が国を含む各国で、大規模な自然災害や異常気象、さらには人為的ミスがきっかけとなって通信インフラが停止する事例が起きている。インターネット上の活動拡大等により、その影響範囲は以前と比較して格段に大きくなっている(図表3-2-1-1)。

図表3-2-1-1 最近の電気通信サービスの停止事例
(出典)各社公表資料等を基に総務省作成
「図表3-2-1-1 最近の電気通信サービスの停止事例」のExcelはこちらEXCEL

また、国際情勢が複雑化する中、経済安全保障の観点からも通信インフラの信頼性・安全性の確保は非常に重要な課題である。デジタル技術の進化とともに、サイバー攻撃も複雑化・巧妙化し、セキュリティリスクも広範かつ深刻なものとなっている。近年は、世界各国において、基幹インフラ事業を対象とするサイバー攻撃により大きな社会的混乱が引き起こされる事案が多数発生している。我が国においても基幹インフラ事業者を含む民間企業等が対象となったとされるサイバー攻撃事案が発生しており、これら事案の中には外国政府が関与した可能性が高いと評価されている例も存在している1。また、ICT機器の高度化やそのサプライチェーンの複雑化・グローバル化を背景として、情報通信インフラに使用される通信機器やシステムにあらかじめ不正なソフトが仕込まれていたり、保守・運用に関するサプライチェーンを介して不正なソフトウェア(マルウェア等)が混入されたりするなど、サプライチェーン上でのセキュリティリスクも顕在化している。

経済安全保障の観点からは、デジタルサービスを提供するために必須となる機器や部品が調達できないという調達上のリスクへの懸念も高まっている。米中の対立等によってグローバルなサプライチェーン構造にも変化が出ており、我が国としてもICT関連機器・部材の安定した確保は経済安全保障と直結するものとなっている。2021年のICT関連機器・部材の輸入相手国の割合をみると、半導体、携帯電話や携帯用の自動データ処理機械、プロセッサーなど多くの品目で中国や台湾からの輸入割合が高く、特定の国に供給を依存している傾向があることが確認できる2

自然災害の頻発化・激甚化、国際情勢の複雑化等が懸念される中、非常時でも安心・安全なデータ流通やデジタルサービスの利用を確保するため、代替手段の確保を含む通信インフラの強靱化、データセンターや海底ケーブルの分散化、サイバーセキュリティやサプライチェーンの強化等を図ることが重要である。



1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/dai3/siryou4.pdfPDF

2 総務省(2022)「デジタル社会における経済安全保障に関する調査研究」

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