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第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第1節 データ流通・活用の新たな潮流

3 生成AI

(1) 生成AIを巡る動向

AIは、大量のデータから、故障の予兆や詐欺やスパム情報の検出、将来予測、また次に個人に表示する動画を決定している。このようにデータ分析目的で活用されるAIは「Analytical AI」と呼ばれており、既に社会の多くの場所で用いられている。

これに加えて、近年、従来人間が得意としてきた、情報を生成・創造する目的で用いられる生成AIの技術が急速に発展してきた。

Open AIは、2020年5月、1750億のパラメータを使用する大規模言語モデル「GPT-3」を公表し、2022年11月にGPT3.5をベースにした対話型AI「ChatGPT」チャットボットを、2023年3月に「GPT-4」を公表した。

2023年3月、Microsoftは、自社の検索サービス「Bing」とブラウザ「Edge」にGPT-4をベースにしたAIを搭載することを公表し20、Googleは、LaMDA(Language Model for Dialogue Applications:対話アプリケーション用言語モデル)を活用した実験的な会話型AIサービス「Bard」を一般公開した。また、中国の検索エンジン「百度」も、同年3月、ChatGPTに似た対話型AIサービス「文心一言(アーニー・ボット)」を一般公開した。

我が国でも、LINE株式会社とNAVER株式会社が共同で日本語の大規模言語モデル「HyperCLOVA」を開発した。「HyperCLOVA」は、チャット型のインターフェースではないものの、文章の作成や要約等の用途で使用することが可能である21

2022年には、テキストを入力すると画像を生成する「プロンプト型画像生成AI(text to imageとも呼ばれる)」が登場し、人間が描きたいものをAIが代わりに描くことが可能となった。初期には、これらを動作させるためには高度な計算処理や、大容量データの保管が可能な高性能PCが必要であった。その後、ウェブサイト上等で有志によるアプリ化が進められていき、誰でも簡単にAIに画像を作成する指示ができるようになった。

その他にも多様な用途での生成AIが公開されており、例えば、テキストの入力をすると答えや文章を要約して回答したり、生成AIが人間の指示を受けてプログラムのソースコードを作成したり、テキストから作曲を行うAIなどがある。

2022年9月に公表されたSEQUOIAとGPT-3の「2030年代頃までのGenerative AIの展開予想」によると、テキスト、コーディング、画像、動画・3D・ゲーム分野の順番で活用が進んでいくと予測されている22

また、世界全体の生成AIの市場規模は2030年までに約14兆円にまで拡大し、2022年〜2030年の期間のCAGR(年平均成長率)は35.6%と予測されている23図表3-1-3-1)。なお、地域別にみると、2021年ベースで最大のシェアを持つのは「北米」市場(40.2%)となっている。

図表3-1-3-1 世界の生成AI市場規模
(出典)Grand View Research Inc.による調査


20 https://blogs.bing.com/search/march_2023/Confirmed-the-new-Bing-runs-on-OpenAI’s-GPT-4別ウィンドウで開きます

21 2023年4月1日、ワークスモバイルジャパンは、LINE社のAI事業「LINE CLOVA」(HyperCLOVAを所管)を統合吸収し、今後は、同社の提供する「LINE WORKS」上にてHyperCLOVAによる支援機能の提供を行うことが検討される。

22 出典:https://www.sequoiacap.com/article/generative-ai-a-creative-new-world/別ウィンドウで開きます

23 調査会社Grand View Research Inc.による予測。1ドル=130.3715円で換算(2023年1月25日)。

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