産学官一体となって知財の取得や国際標準化を戦略的に推進することを目的として、2020年(令和2年)12月に「Beyond 5G新経営戦略センター」を設立し、新ビジネス戦略セミナーなどを通じた情報発信や、企業の若手幹部候補生に向けたワークショップ等を通じた人材育成を推進している。また、知財取得状況を分析するIPランドスケープの構築など、今後の標準化策定等を検討するための情報基盤整備に取り組んでいる。今後、中間答申(令和4年6月30日)において公表したIPランドスケープ等を活用し、Beyond 5G(6G)の知財・国際標準化の推進に向けた分析を深めていく。
また、国際標準化活動を研究開発の初期段階から推進するため、信頼でき、かつ、シナジー効果も期待できる戦略的パートナーである国・地域の研究機関との国際共同研究を実施している。具体的には、2016年度(平成28年度)からは米国研究機関との、2019年度(令和元年度)からはドイツ研究機関との共同研究に対する研究開発資金の支援を開始している。2023年度(令和5年度)には、5Gの更なる高度利用のユースケース創出につながる技術開発及び実証として、日米共同研究においては「無線リンク技術」及び「3次元空間データ圧縮技術」について、日独共同研究においては「製造分野におけるワイヤレス通信技術」について、合計3件の国際共同研究を実施中である。
さらに、2020年(令和2年)12月に設立した、産学官で連携しBeyond 5G(6G)を強力かつ積極的に推進する「Beyond 5G推進コンソーシアム」では、Beyond 5Gの利用方法や性能目標をまとめた「Beyond 5Gホワイトペーパー」を2022年(令和4年)3月に作成し、2023年(令和5年)3月には、様々な業界へのヒアリング等を追加で実施し、アップデートした2.0版を公表している。ホワイトペーパーで取りまとめたIMTの将来の技術動向及び展望に係る検討結果に基づき、ITU-R SG5 WP5D第38回会合以降、継続して寄与文書を入力するなど国際標準化活動を推進している。また、我が国のOpen RANの普及・推進や国内企業の海外進出を目的に、Open RANに関する各種課題に関して議論を行う「Open RAN推進分科会」を2022年(令和4年)3月に設置した。さらに、国内外の関係者間の連携強化を目的とする「Beyond 5G国際カンファレンス」を2022年(令和4年)10月に開催するとともに、2022年度(令和4年度)に新たに3団体と協力覚書を締結1している。
1 2022年(令和4年)5月に6G Smart Networks and Services Industry Association(欧州)及びNext G Alliance(米国)と、同年11月にノースイースタン大学(米国)との間でそれぞれ締結。