第2部 情報通信分野の現状と課題
第8節 ICT国際戦略の推進

(1) G7・G20

社会経済活動のグローバル化・デジタル化により国境を越えた情報流通やビジネス・サービスが進展する中で、我が国が議長国を務めた2016年(平成28年)4月のG7香川・高松情報通信大臣会合が発端となり、G7の枠組でもデジタル経済の発展に向けた政策などについて活発な議論が行われている。

また、中国、インドなどを含むG20の枠組でも、デジタル経済に関する議論が継続的に行われるようになっている。具体的には、2019年(令和元年)6月、総務省、外務省、経済産業省が、茨城県つくば市において「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」を開催し、AIについて、G20ではじめて「人間中心」の考えを踏まえたAI原則に合意し、G20大阪サミットでは首脳レベルでも合意された。また、信頼性のあるデータの自由な流通の促進(DFFT)の理念についても首脳レベルで支持され、2020年(令和2年)G20デジタル経済大臣会合(サウジアラビア)で重要性を再確認された。

さらに、2022年(令和4年)5月には、G7デジタル大臣会合(ドイツ)が開催され、インターネットの遮断やネットワーク制限を含む、デジタル時代における民主主義的価値を損なう可能性のある措置への反対を表明するとともに、DFFT促進のためのアクションプランを策定し、アクションプラン内で①証拠基盤の強化、②将来の相互運用性促進のための共通性の構築、③規制協力の継続、④デジタル貿易の文脈におけるDFFTの促進、⑤国際データスペースの展望に関する知識の共有の5分野での行動に共同でコミットすることが提案され、同年6月のG7サミットで承認された。

2023年(令和5年)には我が国がG7の議長国を務め、同年4月のG7群馬高崎・デジタル技術大臣会合においては、①「越境データ流通及び信頼性あるデータの自由な流通の促進」、②「安全で強靭なデジタルインフラ構築」、③「自由でオープンなインターネットの維持・推進」、④「経済社会のイノベーションと新興技術の推進」、⑤「責任あるAIとAIガバナンスの推進」、⑥「デジタル市場における競争政策」の6テーマに関して議論を行った。その成果として、5つの附属書を含む「G7群馬高崎デジタル・技術閣僚宣言」が採択されるなど、DFFTの促進をはじめとしたデジタル経済に関するルールづくりに向けた国際的議論に貢献した4図表5-8-5-1)。

図表5-8-5-1 G7/G20における情報通信・デジタルの議論の経緯(概要)


4 2023年4月に行われたG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合の概要・結果については、政策フォーカス「G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合」を参照。

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