総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和5年版 > 超高速・大容量のデータ流通を支える高度なICT基盤の整備
第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第2節 豊かなデータ流通社会の実現に向けて

2 超高速・大容量のデータ流通を支える高度なICT基盤の整備

ブロックチェーンを応用したNFTやDAO、メタバースやデジタルツイン等の新たな技術やサービスの活用が始まる中、今後これらが社会により浸透していくためには、膨大なデータを超高速で遅滞なく流通させることが必要となる13

また、2030年代には、サイバー空間とフィジカル空間の一体化(CPS:Cyber Physical Systems)が進展し、フィジカル空間における物理的なやりとりがサイバー空間においてデジタルデータの形で再現され、AI等の活用により、フィジカル空間の随時の状況把握や、その情報を基に次の行動の判断を行うことが可能になると見込まれており、5Gを超える性能面も含めた多種多様な要求条件が求められる。

このように、CPSを社会経済活動に最大限活用するデータ主導型のSociey5.0を実現するためには、5Gよりも高度な情報通信インフラであるBeyond 5G(6G)が不可欠である(図表3-2-2-1)。

Beyond 5G(6G)においては、5Gの特長とされている高速大容量、低遅延、多数同時接続といった機能を更に高度化するほか、近年のリモート化・オンライン化の進展等による通信トラヒックの増加に伴うネットワークの消費電力の増加に対応した低消費電力化、通信カバレッジを拡張する拡張性、ネットワークの安全・信頼性や自律性といった新たな機能の実現が期待されている。

特に、地球温暖化等の環境問題が深刻化する中、情報通信インフラの省電力化が課題となっており、電気通信と光通信を融合させることでネットワークの高速化と大幅な低消費電力化を実現する光電融合技術を活用したオール光ネットワーク技術14が注目されている。

総務省では、情報通信審議会「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」中間答申(令和4年6月30日)において、Beyond 5G(6G)を現行の無線通信の延長上で捉えるのではなく、有線・無線や陸・海・空・宇宙等を包含したネットワーク全体で捉える考え方や、我が国として目指すべきネットワークの姿、オール光ネットワーク技術や非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)技術、セキュアな仮想化・統合ネットワーク技術など国として注力すべき重点技術分野、研究開発から社会実装、知財・標準化、海外展開までを一体で戦略的に推進する方向性が示され、これを踏まえた法律改正や予算措置に基づく恒久的な基金の造成など新たな政策を講じている15

また、産業界においても、産学官連携組織(Beyond 5G推進コンソーシアム、Beyond 5G新経営戦略センター)を通じたユースケースや技術課題の検討、国際連携、知財・標準化の推進等の活動が進展している。

図表3-2-2-1 目指すべきBeyond 5Gネットワークの姿
(出典)情報通信審議会「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」中間答申概要


13 東京大学情報理工学系研究科の塚田 学教授によると、メタバースの普及には遅延・規模性・データ転送速度が大きなポイントとなり、例えばメタバースの一つの目標である“無制限なユーザーがイベントを同期して満足に体験できる状況”を実現するためには、遅延を150ミリ秒以内に、演奏やゲームといったよりタイム感がシビアになるようなケースでは20ミリ秒以内に収める必要があるとのことである。

14 NTTの掲げる「IOWN構想」においても主要技術分野のひとつ。

15 詳細は、政策フォーカス「Beyond 5G(6G)の実現に向けて」第2部第5章第7節「ICT技術政策の動向」等を参照。

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