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平成30年版 情報通信白書のポイント
平成30年版 情報通信白書のポイント

平成30年版 情報通信白書のポイント

■構成

第1部 特集: 人口減少時代のICTによる持続的成長

  • 人・モノ・組織・地域などあらゆるものを「つなげる」ことで新たな価値創造を実現するICTを利活用して、需要喚起、生産性向上、社会・労働参加を促進することで、人口減少時代における持続的成長が図られる。
  • まず、世界と日本のICTについて概観(第1章)し、需要喚起、生産性向上、社会・労働参加に向けたICT利活用を、市場・組織・人の各段階で分析(第2章-第4章)。

第1章:世界と日本のICT

  • AI・IoTの普及が進展しつつある世界のICT市場の現状。
  • データ流通の拡大に伴う課題への対応に向けた世界と日本のICT利用環境整備の現状。
  • 日本のICT投資、GDP成長への寄与度、イノベーション受容などの状況を米国と比較。

第2章:ICTによる新たなエコノミーの形成(市場):広がるX-Techによる市場創造

  • 新商品・サービス創出
    業種を超えてICTによる新たな価値、仕組みを創造する「X-Tech」の進展、ICTプラットフォーム活用によるBtoB、BtoC、CtoC各形態の変化などによる新たな市場の形成を取り上げる。
  • グローバル需要の取り込み
    人口減少に伴う国内需要縮小を補う、ICT産業の海外展開の現状、インバウンド取り込みへのICT利活用について扱う。

第3章:ICTによる生産性向上と組織改革(組織):「攻めのICT投資」による生産性向上

  • 生産性向上
    ICTは労働投入量の効率化、付加価値額増加の両面において労働生産性の向上に貢献。ICTによる課題解決や生産性の向上方策、クラウドなど組織をつなげるICTについて取り上げる。
  • 組織改革
    ICTのポテンシャルを引き出す組織改革について、組織でのICT利活用を主導するCIO/CDOに着目して述べる。

第4章:ICTによるインクルージョン促進(人):多様な生き方「複属」に向けたICT活用

  • 社会参加
    ソーシャルメディアなどICTの普及状況とコミュニケーションの現状、ソーシャルメディアを通じたコミュニティへの参加状況と「つながり力」などを取り上げる。
  • 労働参加
    多様な人々の労働参加手段としてのテレワーク、クラウドソーシングなどの利用状況、AI普及により仕事に変化が生じる可能性と、それに対応するリカレント教育などを扱う。

第2部 基本データと政策動向

第5章:ICT分野の基本データ

総務省実施調査である情報通信業基本調査や通信利用動向調査等の結果を中心に、我が国ICT産業の市場規模、雇用者数等の動向、ICTサービスの利用動向を示すデータを幅広く紹介。

第6章:ICT政策の動向

我が国のICT政策の最新動向を、電気通信事業、電波、放送、利活用、研究開発、国際戦略等の分野別に、総務省の取組を中心に紹介。

第1章 世界と日本のICT

  • 世界では、AI・IoTの普及が進み、IoTデバイス数は2017年には約270億、2020年には約400億の予測。
世界のIoTデバイス数の推移及び予測
(出典)IHS Technology
分野・産業別の世界のIoTデバイス数及び成長率予測
(出典)IHS Technology
  • 米国との比較では、我が国はICT投資額が少なく、従って、ICT資本ストックも横ばいの状況。
  • ICTが影響を与えうる全要素生産性とICT資本ストックは我が国のGDP成長(付加価値増加)に一定程度寄与しているが、2010年までは米国比で低水準。
    ※全要素生産性(TFP):資本と労働以外で生産の増加に寄与するもの。具体的には、ICTが影響を与えうる技術進歩、効率化など
  • 我が国成長率の内訳を情報通信産業とその他産業とで比較すると、情報通信産業以外でのTFPの押し上げ効果が弱い。
日米のICT投資額(名目)推移
(出典)OECD Stat
日米のICT資本ストック(名目)推移
(出典)OECD Stat
日米のGDP成長率寄与度分解
日本の産業別成長率寄与度分解

第2章 ICTによる新たなエコノミーの形成

  • AI・IoTによる変革により、市場において、企業や業種相互の関係に変化。
  • ICTを活用したソリューションを提供することで新しい価値や仕組みを創造する「X-Tech」が進展。デジタル化が進む金融(FinTech)を始め、さまざまな分野に拡大傾向。
  • X-Techの進展により、各業種やバリューチェーン(付加価値を生む各工程)を超えた連携・統合が進むことで、業界構造の変化や異業種間の相互参入が進み、業種を超えて新たな市場形成。
  • 例えば、FinTech企業が金融機関における顧客情報と連携して資産管理や自動的に貯蓄するといったサービスを提供する等、従来の業界に止まらない分野横断的なサービスが進展。
代表的なFinTechサービス
電子マネー決済額の推移
(出典)日本銀行「電子マネー係数」を元に作成
X-Techの市場構造変化へのインパクト
  • 人口減少に伴う国内需要縮小を補うためには、成長が続く新興国を中心にした、グローバル需要の取り込みが重要。
  • ICT企業アンケート調査の結果、今後多用したい海外進出手段は直接投資(同業種)。
  • ICT企業の海外M&A(企業合併・買収)実績(2016年)は367億ドル。
  • インバウンド促進については、コンテンツの海外展開、受入環境整備(Wi-Fi整備、多言語翻訳対応など)などでICTは貢献可能。
企業の海外進出手段(アンケート調査結果、今後多用したい手段)
ICT企業のM&A金額の推移(日本企業の金額と世界ICT分野における割合)
(出典)総務省「IoT国際競争力指標」をもとに作成
訪日外国人旅行者数及び消費額の推移
(出典)観光庁 訪日外国人の消費動向及びJNTO訪日外客数の動向
訪日外国人旅行者が旅行中に困ったこと(抜粋)
(出典)観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」等

第3章 ICTによる生産性向上と組織改革

  • AI・IoT利活用にあたっての課題として、日本企業は、欧米企業と比較して情報通信システム(下右図:青破線)に関する課題について回答率が低いが、事業(下右図:緑破線)や組織(下右図:赤破線)に関する課題について高い回答率。
  • 労働生産性上昇効果は、既存製品・サービスの高付加価値化を中心とする「攻めのICT投資」による効果がより大きい。
各国企業のAI・IoT利活用にあたっての課題
ICTによる課題解決と生産性の向上方策の類型
  • 「攻めのICT投資」を実現するために、ICTのポテンシャルを引き出すための組織改革も不可欠。
  • そのためには、事業活動におけるICTの導入・利活用を主導するCIO・CDOの設置を核とした組織整備を進めることが必要。
  • CIO・CDOを設置(検討)している企業では、ICTの導入がより進んでおり、また、ICTを利用した雇用や労働力向上にかかる取組により積極的に取り組んでいる傾向。
ICT投資を活かすための取組
国内企業のICTを利用した雇用・労働生産性向上に関する取組状況

第4章 ICTによるインクルージョン促進

  • コミュニティへの参加に関する調査では、2008年度調査と比較して、コミュニティに参加しない人が減少し、オンラインコミュニティのみに参加する人が増加。ただし、オフラインとオンラインコミュニティともに参加する者が、他人とつながる力が強い傾向は変化ない。
  • 地域で人助けをしたいと回答した人のうち、40%以上がソーシャルメディアを利用した共助の仕組みへ参加意向。ソーシャルメディアなどのICT利活用により住民の課題や支援意向などを可視化し「つなげる」ことで、共助を支援する取組例もある。
オンライン・オフラインコミュニティへの参加状況
つながり力指標(総参加数4団体の場合)
ソーシャルメディアの利用意向(困っている人を助けたい人の内訳)
  • 2017年の企業のテレワーク普及率は13.9%。会社のルール未整備などが課題であるが、従業員にはワーク・ライフ・バランス向上など、企業には労働生産性向上などのメリット(向上効果があった企業:82.1%)。
  • クラウドソーシングとは、企業などが発注した業務を個人・グループが受注する仕組みであり、ICTを用いることで、女性など多様な人材の労働参加や地方での仕事の創出にも役立つ。クラウドソーシングの登録者数は増加傾向。
テレワーク実施の課題(テレワーク実施を希望する従業員)
テレワーク導入目的(導入済み企業)
(出典)総務省「通信利用動向調査」
テレワークによる労働生産性向上(向上を目的とした企業)
(出典)総務省「通信利用動向調査」より作成
クラウドソーシング登録者の推移((株)クラウドワークス会員数)
(出典)クラウドワークス「2017年9月期 通期決算説明資料」
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