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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
補論 中国の事例

(4)急速な普及の背景

中国においてモバイル決済がこれほど急速に発展した理由については様々な説明がされている。その一つは、ICTサービスの提供開始にかかるコストである。新興国では固定電話の回線や従来の銀行システムのように整備に多額の費用や多くの人員が必要なインフラが必要なサービスは普及に時間がかかり、先進国のような水準に達するのは難しかった。しかしながら、ICTを活用した新サービスはインフラ整備をほとんど必要とせず、参入ハードルが低いことが挙げられる。

また、従来のサービスの水準も先進国と比べて低いことも指摘される。例えば2015年時点での人口1000人あたりの日本と中国のATM設置台数を比較すると、日本が0.86台であるのに対し、中国は0.60台であり日本の70.3%にとどまる。また、国土面積あたりのATM設置台数を比較するとその差はさらに大きくなり、日本では0.29台/km2であるのに対し、中国では0.09台/km2と、3倍以上の開きがある(図表3)。現金の入手が比較的不便な中で現金を必要としない手軽な決済サービスが登場したため、利用者が一気に拡大したと考えられる。

図表3 日中の人口1000人あたり(左)及び国土面積1km2あたり(右)のATM設置台数【2015年時点】
(出典)ResearchInChina「China Automatic Teller Machine(ATM)Industry Report, 2016-2020」および一般社団法人全国銀行協会「決裁統計年報」より作成
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