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第2部 基本データと政策動向
第8節 ICT国際戦略の推進

(2)二国間関係における国際政策の展開

ア 米国との政策協力
インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話

インターネットエコノミーに関する幅広い政策課題について意見交換し、ICT分野の発展に向けた認識の共有化と地球的規模での課題における具体的連携を推進する観点から、2010年(平成22年)に日米両国の間で、「インターネットエコノミーに関する政策協力対話」を行うことで一致した8。同年11月に第1回を開催して以来、総務省国際戦略局長及び米国務省国際通信情報政策担当幹部を共同議長とし、日本経済団体連合会(経団連)、在日米国商工会議所(ACCJ)、ほかICT企業の代表が出席する官民会合、及び日米両政府間(日本側は総務省、外務省、経済産業省、内閣サイバーセキュリティセンター等。米国側は国務省、連邦通信委員会、商務省等)のみで行われる政府間会合が実施されている。また、2017年から、日米両国政府は、本対話を麻生副総理とペンス副大統領による「日米経済対話」の枠組みの中で、デジタル経済分野における日米協力を議論する場として位置づけ、具体的連携を加速させている。

2017年(平成29年)4月、ワシントンDCにおいて開催された民間会合において、日米経済対話におけるデータの自由な流通の拡大及び安心・安全で信頼できるインターネットの発展などへの取組みを求める「インターネットエコノミーに関する日米政府への共同書簡9」が取りまとめられ、経団連及びACCJから日米政府に提出された。2017年(平成29年)9月にワシントンDCで開催した第8回会合(官民・政府間)では、同書簡も踏まえ、国際協調、国境を越えたデータの流通とプライバシー保護、デジタル貿易、サイバーセキュリティ、研究開発協力、電気通信および情報アクセスの拡大等の幅広い議題について議論し、会合の成果文書として「第8回インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話に係る共同記者発表10」を公表した。この第8回会合の成果は同年10月に実施された第2回日米経済対話に報告している。

イ 欧州との協力
(ア)欧州連合(EU)との協力

総務省は、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局との間で、ICT政策に関する情報交換・意見交換の場として日EU・ICT政策対話を開催している。2017年(平成29年)10月、東京で開催された第23回日EU・ICT政策対話では、日EU双方における政策動向を踏まえ、電気通信規制、サイバーセキュリティ、5G、日EU国際共同研究、AI等について議論を行った。

また、2018年(平成30年)4月、デジタル経済における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として第7回日EU・ICT戦略ワークショップを開催し、IoT/5G、プラットフォーム、AI、共同研究、個人データの越境流通等について議論を行った。

(イ)欧州諸国との二国間協力

総務省は、日独両国間の情報通信分野における政策面での相互理解を深め、両国間の連携・協力を推進するため、2017年(平成29年)9月、ドイツ連邦共和国・連邦経済エネルギー省との間で日独ICT政策対話(第2回)を開催し、今後のG7やG20をはじめとする国際議論の場での両国間の連携を確認したほか、5G・超高速ブロードバンドの推進、電気通信事業、IoT/ビックデータ/AI社会の推進やIoTに係るサイバーセキュリティについて議論を行った。

また、2018年(平成30年)3月、日仏ICT政策協議(第20回)をフランス共和国経済・財務省との間で開催し、2019年のG20議長国である日本とG7議長国であるフランスとの間で密接な連携を図っていくことを確認したほか、郵便事業、IoT、5G、データ利活用について議論を行った。加えて、日仏ICT政策協議の開催にあわせ、ICT分野における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として、初の試みとなる官民会合を開催し、デジタルエコノミー、第三国における日仏連携や日仏企業間のビジネス連携について議論を行った。

ウ アジア・太平洋諸国との協力

総務省では、アジア・太平洋諸国の情報通信担当省庁等との間で、通信インフラ整備やICT利活用等のICT分野に関する協力を行っている。

インドとは、2017年(平成29年)7月、東京において総務省とインド通信省との間で、第4回日印合同作業部会を開催し、サイバーセキュリティ協力、社会的課題解決のためのICT利活用及びネットワークインフラの3分野6件の日印共同プロジェクトの選定を行った。

ベトナムとは、2018年(平成30年)1月、ベトナムにおいて総務省とベトナム情報通信省との間で、第1回日ベトナムICT共同作業部会を開催し、サイバーセキュリティ、電波監視及びスマートシティ分野における今後の日越間協力について協議を行っていくこととなった。

シンガポールとは、2017年(平成29年)5月、シンガポールにおいて総務省とシンガポール情報通信メディア開発庁(IMDA)との間で、第5回日・シンガポールICT政策対話をシンガポールで開催した。本対話では、両国のICT政策全般、IoT、5G及びAIといった新たな技術・サービスに対する政策動向、国際的な協調が不可欠なサイバーセキュリティ対策、国際ローミング料金等、多岐にわたる分野で意見交換を行った。同年11月には、IMDAとの間で、国際ローミング料金の低廉化に関する協力覚書に署名した。

中国及び韓国とは、2018年(平成30年)5月、東京において総務省、中国工業・情報化部及び韓国科学技術情報通信部との間で、第6回日中韓情報通信大臣会合を開催し、日中韓の情報通信分野での交流・協力の重要性を再認識するとともに、今後の協力の方向性について意見交換を行い、会合の成果をとりまとめた共同議事録に日中韓3大臣が署名した(図表6-8-2-1)。

図表6-8-2-1 共同議事録に署名を行った野田総務大臣

オーストラリアとは、2015年(平成27年)2月に、シドニーにおいて通信省との間で、第1回日豪ICT政策対話を開催し、準天頂衛星を活用したG空間プロジェクトの推進等について合意し、2016年(平成28年)10月及び12月にはその一環として、豪州北部地域において同衛星の高精度測位機能を活用した農機の自動走行や、ドローン等によるセンシング情報に基づく農作業の効率化に関する実証を実施するとともに、2017年(平成29年)2月には豪州政府、大学、農業関係者等を対象としたワークショップを開催した。また、同年1月の安倍総理訪豪に際し、共同プレス発表において準天頂衛星の利活用が取り上げられた。2018年(平成30年)2月には西豪州において高精度な農作物データの収集・分析に関する実証を実施するとともに、これまでの実証実験の結果等を、シドニー及びメルボルンで開催された準天頂衛星システム産業利用に関する日豪ワークショップにおいて産学官の関係者と共に情報共有し、豪州における準天頂衛星の活用に対する期待が高まった。



8 インターネットエコノミーに関する日米政策協力:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin06_02000027.html別ウィンドウで開きます

9 (正文英文)http://www.keidanren.or.jp/en/policy/2017/031.html別ウィンドウで開きます
(仮訳)http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/031.html別ウィンドウで開きます

10 http://www.soumu.go.jp/main_content/000509171.pdfPDF

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