総務省トップ > 政策 > 白書 > 30年版 > 中小企業技術革新制度(SBIR制度)による支援
第2部 基本データと政策動向
第6節 ICT利活用の推進

(3)中小企業技術革新制度(SBIR制度)による支援

中小企業技術革新制度(SBIR制度)23とは、中小企業者等の新たな事業活動の促進を図ることを目的とし、国の研究開発事業について、中小企業者等の参加機会の増大を図るとともに、それによって得られた研究開発成果の事業化を支援する制度である。

具体的には、新たな事業活動につながる新技術の研究開発のための特定の補助金・委託費等を受けた中小企業者等に対して、その成果の事業化を支援するため、特許料等の軽減等の支援措置を講じており、総務省においても、平成29年度は、合計11の特定補助金等を指定している。

政策フォーカス テレワークの推進

1.テレワークの定義と総務省の主な施策

テレワークは、ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方である。子育て世代やシニア世代、障がいのある方も含め、国民一人一人のライフステージや生活スタイルに合った柔軟な働き方を実現するものであり、「働き方改革」の切り札ともいえるものである。総務省では、テレワーク導入の課題に対応する形で様々な施策を展開(図表1)している。

図表1 テレワーク推進施策の概要

(1)全国でのセミナー開催

「総務省 働き方改革セミナー −『働く、が変わる』テレワーク−」と題して、企業等を対象としたセミナーを開催している。平成29年度には、全国10か所で各道県と共催で開催した。プログラムは、テレワークの最新動向、労務管理上の留意点、情報セキュリティ上の留意点のほか、テレワーク導入企業の事例紹介などから構成されている。

(2)テレワークセキュリティガイドライン

総務省では、企業等がテレワークを実施する際の情報セキュリティ上の不安を払拭し、安心してテレワークを導入・活用する手引きとなる指針として、「テレワークセキュリティガイドライン」を策定・公表している。平成29年度には、最近の社会や技術の変化(クラウドサービスやSNSの普及等)、新たなセキュリティ上の脅威(無線LANの脆弱性、ランサムウェアや標的型攻撃の登場等)などを踏まえ、本ガイドラインを改定し、「テレワークセキュリティガイドライン第4版」として公表した。

(3)テレワークマネージャー派遣事業

テレワークをこれから導入しようとする企業等に専門家を派遣し、テレワークシステム、情報セキュリティ等、主にICT面でテレワークの導入に関するアドバイスを実施している。平成29年度には計83回の派遣を実施した。

(4)テレワーク普及拡大の担い手(テレワークエキスパート)の育成

自社内及び他社にテレワークの導入支援ができる専門人材を育成し、テレワークの裾野拡大を図るため、講習会の実施及び専門的知見を集めたテキストブックの作成を行っている。平成29年度には講習会を東京で3回、大阪で1回開催した。

(5)テレワーク推進企業ネットワーク

総務省では、厚生労働省と連携し、テレワークの導入により、生産性向上、ワーク・ライフ・バランス向上等の実績を上げている企業等が参加する「テレワーク推進企業ネットワーク」を平成28年11月に立ち上げた。ネットワーク参加企業は、自社の工夫やノウハウの紹介を行うとともに、これからテレワークを導入しようとする企業に対し、具体的なアドバイスを行っている。

(参考)テレワーク推進企業ネットワークwebサイト http://teleworkgekkan.org/network/別ウィンドウで開きます

(6)テレワーク先駆者百選及び総務大臣表彰

総務省は、平成27年度から、テレワークの導入・活用を進めている企業・団体を「テレワーク先駆者」とし、その中から十分な実績を持つ企業等を「テレワーク先駆者百選」として公表している。また、平成28年度には「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を創設し、「テレワーク先駆者百選」の中から特に優れた取組を表彰している(図表2)。

図表2 テレワーク先駆者百選及び総務大臣表彰の概要

2.2020年に向けた国民運動プロジェクト「テレワーク・デイ」

総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房及び内閣府は、東京都及び関係団体と連携し、2020年までの毎年、東京オリンピックの開会式が予定されている7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、大会期間中のテレワーク活用による交通混雑緩和と全国的なテレワークの定着を目的とし、企業等による全国一斉のテレワーク実施を呼びかけている。

第1回目となった平成29年7月24日には、約950団体・6.3万人が参加し、国民運動として大きな一歩を踏み出した(図表3)。

図表3 「テレワーク・デイ」の概要

2017年のテレワーク・デイ当日には、交通混雑の緩和や消費電力量の削減などについて、一定の効果が見られた。東京メトロ豊洲駅では、朝の通勤ピーク時間帯(8時台)の通勤量が1年前と比べて約10%削減した(図表4)。消費電力量については、当日のオフィスフロアの消費電力量が実施前と比較し最大で18%削減される結果となった。

図表4 テレワーク・デイの主な効果(交通混雑の緩和)

3.テレワーク月間

テレワーク推進フォーラム(総務省、厚生労働省、経済産業省及び国土交通省の呼びかけにより平成17年11月に設立された産学官のテレワーク推進団体)では、平成27年から11月を「テレワーク月間」として、テレワークの普及促進に向けた広報等を集中的に実施している。

平成29年度のテレワーク月間においては、周知ポスター(図表5)やPR動画を作成し、公共交通機関やイベント会場等でPR活動を行った。

図表5 テレワーク月間の周知ポスター

テレワーク月間サイトに登録された活動数は821件となり、平成28年度(592件)から約4割増加した。

各企業においても、テレワーク月間中にセミナーやイベント等を集中的に開催したり、社内でのテレワーク実施を呼びかける等、テレワーク月間を契機に社内外での普及啓発活動を行った。

4.「ふるさとテレワーク」の推進

「ふるさとテレワーク」とは、地方のサテライトオフィス等においてテレワークにより都市部の仕事を行う働き方のことであり、ふるさとテレワークの推進により、都市部から地方への人や仕事の流れを創出し、地方創生の実現に貢献するとともに、地方における時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を促進し、働き方改革の実現にも貢献するものである(図表6)。

図表6 「ふるさとテレワーク」の概要

総務省では、平成27年度に地域の実情や企業ニーズに応じたふるさとテレワークのモデルを実証し、平成28年度からは、地方自治体や民間企業等に対し、地方のサテライトオフィス等のテレワーク環境を整備するための費用の一部を補助する事業を行っている(図表7)。

図表7 「ふるさとテレワーク」実証事業及び補助事業の実施地域
(参考)ふるさとテレワークポータルサイト https://www.furusato-telework.jp/別ウィンドウで開きます

総務省では、平成30年度より、「まち」(市町村、商工会議所等の地域の経済団体等)ごとのテレワーク導入に関する現状や課題の分析、有効な方策の検討等を行うことにより、「まち」のテレワーク推進計画の策定等を後押しする取組(まちごとテレワーク)を推進している。



23 中小企業技術革新制度:http://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq/faq07_sbir.htm別ウィンドウで開きます

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る