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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第1節 ICTがもたらす生産性向上

第1節 ICTがもたらす生産性向上

1 生産性向上の必要性

(1)生産性向上の必要性

一人あたりGDPを維持し、経済的な豊かさを実現するには、より効率的に経済的な成果を生み出すことが必要となる。「生産性」とは、その効率性を指す概念であり、これを定量的に表す指標の一つとして「労働生産性」が用いられている。労働生産性とは、一般に、就業者一人当たりあるいは就業1時間当たりの経済的な成果1として計算される。労働生産性について、我が国の国際的な位置づけをみてみると、OECD加盟35カ国の中では21位にあたり、米国を始めとするG7各国の中では最下位となっている(図表3-1-1-1)。例えば、米国の労働生産性(122,986ドル)と比較すると、日本(81,777ドル)は概ね2/3程度の水準となっている。このように、海外の主要国と比較して日本の生産性は決して高いとは言えない水準である。

図表3-1-1-1 OECD加盟国の時間当たり労働生産性比較
(出典)日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017年版」

労働生産性について、国際(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ)企業アンケート調査結果に基づき、企業の業績から分析してみる。具体的には、過去3年間の労働生産性の推移について聞いたところ、日本を含め各国企業とも「増加」が「減少」の回答割合よりも高い。しかしながら、日本企業は4カ国の中で、「変わらない」と回答した割合(43.6%)が多く、「増加」の回答割合は最も低かった。各国企業の回答結果に基づき、労働生産性の伸び率を算出したところ、日本は他3カ国と比べて半分以下の比率(3.2%)となっており、労働生産性は伸び悩んでいる状況がみてとれる。(図表3-1-1-2)。

図表3-1-1-2 企業の労働生産性(過去3年間の推移)の国際比較(アンケート調査結果)
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)
「図表3-1-1-2 企業の労働生産性(過去3年間の推移)の国際比較(アンケート調査結果)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら


1 企業レベルでは収益(売上から中間投入を差し引いた額)、国レベルではGDPに相当する、いわゆる付加価値額に相当する。

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