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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
補論 中国の事例

(3)摩拜単車(モバイク)

シェアリングエコノミーの代表的な例として、自転車シェアサービスがよく取り上げられる。中国では自転車シェアリング事業が急速に普及している。

その中で特に注目されているのは摩拜単車(北京摩拜科技有限公司)である。2016年4月から上海で正式にサービスを提供し始め、同社は市場の56.6%を占めている。利用者はスマホアプリの地図上で利用可能な自転車を見つけ、アプリを利用して自転車に表示されたQRコードをスキャンすればすぐに利用できる。使用後は最寄りの駐輪スペースに自転車を停めて鍵をかければ返却になる。鍵をかけたとの情報が車両からセンターに送信され、自動的に決済される。スマホアプリにも完了を認識した旨とともに料金が表示される。料金は車両により30分1元(約15円)又は0.5元だが、利用規定に違反したら信用点数が減点となり、点数が一定以下になると料金が通常の10倍以上になる罰則を受ける。

サービスを拡大してきた同社だが、課題も浮かび上がっている。一つは黒字化の難しさである。摩拜単車の場合は潤沢な資金調達に依存しているが、1台の自転車の導入に投入された金額を稼ぎ出すには容易ではない。最高経営責任者である王暁峰は「確立した収益モデルはまだなく、どうすれば利益を出すのかは分からない」と述べている。

もう一つはモラルの問題である。利用者の信用評価で一定の抑止効果はあると見られるものの、問題も発生している。例えば、地下鉄駅などでの違法駐輪や、道路上に放置された自転車が通行者を妨害しているといったことが問題化している。また、自転車を故意に汚したり壊したりするほか、車両の大量盗難や川に投げ込むような悪質ないたずらも発生している。

2017年8月「上海にシェア自転車の“墓場”が現われ、3万台の自転車が山のように折り重なっている」と報道された。

このようなモラルに反する利用者が存在するが、この問題に対してどのように解決していくかが、自転車シェアリングビジネスを展開する事業者に突き付けられている。

なお、2018年4月4日、騰訊系で飲食店検索などのサービスを提供する美団がモバイクを買収したことが報道された。

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