総務省トップ > 政策 > 白書 > 30年版 > 業種横断的なICTプラットフォーム
第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第3節 市場構造に引き起こされる変化

(2)業種横断的なICTプラットフォーム

センサーからのデータの取得やその分析、分析結果に応じた機器へのフィードバック等の機能は、幅広い業種において利用可能な機能である。そのため、これらの機能を提供するICTプラットフォームを提供することができれば、そのICT利活用企業は異なる業種にも活動を拡大することができる。ICT利活用企業がこの類型のプラットフォームを提供している例は多くなく、象徴的な事例としてはGEやBosch、Siemensの例が挙げられる(図表2-3-2-3)。

図表2-3-2-3 ICT利活用企業が提供する業種横断的なICTプラットフォームの例
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

いずれも製造業事業者が提供していることが特徴であり、これらの企業が製造するヘルスケア機器を利用する医療業界や、発電機を利用するエネルギー業、重機等を利用する鉱業等で当該プラットフォームの利用が広がっている。これらのICTプラットフォームは産業用機器をつなぎ合わせ、データを取得・分析し、業種ごとにさまざまな効率化・最適化を進めるアプリケーションを提供する。製造業のバリューチェーンで言うと、垂直統合プラットフォームが調達、製造、販売の効率化・最適化を図るのに対して、業種横断プラットフォームは保守・顧客対応のプロセスにおいて顧客の最適化を図るものである(図表2-3-2-4)。

図表2-3-2-4 業種横断プラットフォームで実現するアプリケーション
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

例えばGEはPredixという産業用IoTプラットフォームを、製造業にとどまらず、電力等のエネルギー事業者に提供している。GEはPredix事業をGEデジタルという組織の下で進めているが、GE全体の売上高は2016年から2017年では減少している中で、GEデジタルの売上額は組織設立後の2015年から伸びており、GE全体の売上高に占めるGEデジタルの売上高の割合も同様に伸びている(図表2-3-2-5)。

図表2-3-2-5 GE全体売上とGEデジタルの売上推移
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)(GE年次報告書より作成)

また、国内企業では、日立製作所のLumadaは2016年度の実績で9,000億円2に達し、2017年度は9,500億円となる見通しである。



2 デジタル技術でデータを価値に変換し顧客の課題解決を図るサービス事業であるLumadaコア事業(1,200億円)と、Lumadaを用いたIoT分野のSI事業であるLuamda SI事業(7,800億円)の売上合計。

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