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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第4節 ICTのポテンシャルを引き出す組織改革

第3章まとめ

第2章に引続き、本章でも持続的成長に向けた経済的側面からの考察を行った。本章では、主に供給を拡大させる方向として、ICT利活用による生産性向上について、企業などの「組織」に関する観点から考察を行った。第1節で示したとおり我が国は主要国の中でも生産性は決して高いとは言えない水準である。今後人口増加が見込めない中にあって成長を実現するには、生産性の向上が不可欠である。

ICTの利活用が生産性向上に有益であるとの感覚は比較的浸透しているが、一般にそれは業務の効率化・省力化といった面がイメージされている。当然それは重要なポイントである。しかし、生産性向上のためにはそれだけではなく付加価値の向上にも目を向けなければならない。本章ではICTによる課題解決と生産性の向上方策の類型について分析を行っており、その結果によると製品・サービスの高付加価値化やビジネスモデルの変革といった対策は、省力化や効率化といった対策と比べて生産性向上に対する影響がより大きいという結果が示された。

また、本章では生産性向上の前提となる組織改革についても取り上げた。ICTは確かに生産性向上に資するものである。しかしながら、その導入は順調に進むとは限らず、また、業務プロセスを変えることなく単に一部業務のツールとしてICTを導入するだけでは、生産性向上の効果は限定的となりかねない。本章ではICT導入を生産性向上に結びつけるため、その前提としての組織改革も取り上げた。組織改革にもさまざまな形がありうるが、ここではその全体の司令塔としてのCIO・CDOの重要性に着目した。今回の調査ではCIO・CDOを設置している企業はそうでない企業と比べてデジタル化に対する組織内の理解が進んでいたり、ICT導入率が高いという結果が示されたものの、我が国の企業は欧米企業と比べて設置している企業が限られていることも明らかになった。

企業などの組織における生産性の向上を図り、ひいては我が国全体の生産性向上につなげるために、生産性向上と組織改革の両面を同時に見据え、ICT導入とその利活用を着実に実行する意識が浸透することが望まれる。

これらの取組については、地方においても経済活性化にも貢献すると期待されており、先進的な事例は各地で登場している。

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