第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第3節 組織を「つなぐ」ことで生産性向上をもたらすICT

(2)5Gの特徴

これまで1Gから4Gに至るまで、通信速度の向上が進んできた。5Gもより高速化を実現するものであるが、5Gはそれだけでなく、「多数同時接続」、「超低遅延」といった特徴を持っている。4Gまでが基本的に人と人とのコミュニケーションを行うためのツールとして発展してきたのに対し、5Gはあらゆるモノ・人などが繋がるIoT時代の新たなコミュニケーションツールとしての役割を果たすこととなる。

「多数同時接続」とは、基地局1台から同時に接続できる端末を従来に比べて飛躍的に増やせることである。例えば、これまでは自宅でPCやスマートフォンなど数個程度の接続だったものが、5Gにより100個程度の機器やセンサーを同時にネットに接続することができるようになる。また、情報通信研究機構(NICT)は2018年3月、実証試験において端末約2万台の同時接続を確認したと発表した15。これにより、例えば倉庫に保管された多数の物品の位置や中身の把握、また、災害時に大勢の避難者にウェアラブル端末を着けて健康状態を遠隔で確認する、といった用途への活用が見込まれる。

「超低遅延」とは、通信ネットワークにおける遅延、即ちタイムラグを極めて小さく抑えられることである。例えば、自動運転のように高い安全性が求められるものにおいては、リアルタイムでの通信が必要である。また、ロボットの遠隔制御や遠隔医療といった分野においても超低遅延の効果が発現できる。

このように、5Gは来るべきIoT時代の重要な基盤となるものである。その実現により、コミュニケーションのあり方の変化、そして新たなビジネスの進展に繋がることが期待される。

図表3-3-4-2 5Gの特徴
(出典)平成29年 総務省情報通信審議会新世代モバイル通信システム委員会報告


15 https://www.nict.go.jp/press/2018/03/29-1.html別ウィンドウで開きます

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