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第2部 基本データと政策動向
第7節 ICT研究開発の推進

(2)未来ICT基盤技術

ア 超高周波ICT技術に関する研究開発

総務省及びNICTでは、ミリ波、テラヘルツ波等の未開拓の超高周波帯を用いて、新しい超高速無線通信方式や、センシングシステムの実現を目指した基盤技術の研究開発を実施している。平成29年度は、超高周波領域での通信・計測システムにおいて基準信号を精度よく生成するために必要な高安定光源の研究開発において重要となる、非常に鋭い共振特性を持った共振器の実現に向けて、導波路の微細加工技術の改良によって、低損失化を進め、約105の共振器内部Q値を達成した。さらに、シリコン集積回路を用いて300GHz帯で伝送速度が毎秒105ギガビットの送信機および毎秒32ギガビットの受信機の開発に成功した。

イ 量子ICT技術に関する研究開発

NICTでは、計算機では解読不可能な量子暗号技術や、微弱な光信号から情報を取り出す量子信号処理に基づく量子通信技術の研究開発を実施している。 平成29年度は、平成28年度に実証に成功した量子暗号を用いた秘密分散ストレージネットワークについて、分散データの秘匿性更新技術を新たに実装した。量子通信技術については、光空間通信テストベッドに物理レイヤ秘密鍵共有システムを実装し、見通し通信路における情報理論的安全な鍵生成の原理実証実験に成功した。また、超小型人工衛星と地上局の間で光子レベルの微弱信号を送受信する量子通信の基礎実験に成功した10図表6-7-6-1)。

図表6-7-6-1 量子通信技術と量子暗号技術のイメージ
ウ ナノICT技術に関する研究開発

NICTでは、ナノメートルサイズの微細構造技術と新規材料により、光変調・スイッチングデバイスや光子検出器等の性能を向上させる研究開発を実施している。平成29年度は、原子層堆積により電極界面に電荷注入抑制層を挿入しポーリング効率を向上する技術、並びに、400Gbps超光インターコネクト実現に向けたEOポリマー/Siハイブリッド光変調器の作製において、100nmのSiスロット内にEOポリマーを隙間なく充填することに成功し、スロット導波路の光伝搬を確認した。また、超伝導単一光子検出器(SSPD)のさらなる高速化に向けて、アバランシェ型素子構造により、80%以上の検出効率が得られるバイアス範囲の拡大と、従来比7倍以上の高速応答を実現するとともに、大規模SSPDアレイの実現に向けた多層配線プロセスを開発、32x32ピクセルSSPDアレイを設計・試作し、所望の原理での動作を実証した。



10 NICTプレスリリース(平成29年7月11日):http://www.nict.go.jp/press/2017/07/11-1.html別ウィンドウで開きます

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