総務省トップ > 政策 > 白書 > 30年版 > 組織変革の具体的取組
第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第4節 ICTのポテンシャルを引き出す組織改革

2 組織変革の具体的取組

ICT導入の前提としての効率化の実現のためには、CIO・CDOを設置するだけではなく、それらを核とした組織改革が求められる。実際に、CIO・CDOを設置した企業においては、CIO・CDOの設置と同時に、配下にデジタル化に関連する組織を設置する事例がみられる。組織構成としては、①「社内外からメンバーを集め、新しい部署を設置する」、②「兼任メンバーにより仮想的4なチームを組成する」の大きく2つの類型が存在する(図表3-4-2-1)。なお、必ずしも①、②のどちらか一方だけを選択する必要があるわけではなく、例えば、新しい部署を設置しつつ仮想的なチームを組成することも考えられる。

図表3-4-2-1 CIO・CDOの設置を核とした組織改革の類型
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

新しい部署を設置する場合は、外部との連携を進めたり、社内外のイノベーションを推進する活動が多くみられ、「イノベーションラボ」等と称される組織(以下、ラボ)が設置されることもある。ラボにおいては、産(ベンチャー、異業種を含む)・学・官・との連携を進めるために、社外のメンバー向けのハッカソン等のイベントを開催したり、外部機関との共同研究や共同での実証実験の実施等の活動が行われる。ラボは、シリコンバレーやシンガポール等、ICTによるイノベーションにおいて先進的な地域に設置される事例も見受けられる。

一方で、社内の兼任メンバーで組織する場合は、社内のICTに係る取組状況(導入している技術や保持しているデータ等)やニーズを把握し、CIO・CDOにおいて交通整理をし、全社横断的なデジタル戦略を進めることに力点がみられる。特に大企業においては、事業部門ごとにデジタル化を進めており、部分最適に陥っている場合がある。CIO・CDOの直下組織に各事業部門から専任、あるいは兼任でメンバーを集めることにより、各事業部門におけるデジタル化の取組やデジタル化に対するニーズを把握し、全体最適なデジタル化を推進することができる。国内企業におけるCIO・CDOの設置による具体的な例を示す(図表3-4-2-2)。

図表3-4-2-2 国内企業におけるCIO・CDOの設置による組織改革の例
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)


4 ここでいう「仮想的」とは、「部署」「部門」等、社内組織としての実態をもたないという意味である。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る