総務省トップ > 政策 > 白書 > 30年版 > リカレント教育の必要性
第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第5節 ICTの進化によるこれからのしごと

(2)リカレント教育の必要性

こうしたAI・IoT・ロボットの社会実装の進展による雇用環境の変化に対応するためには、人々がそれに対応した能力を身につけられるように、「学び直し」を行うことが重要になる。

我が国では過去長年にわたり、業務遂行上に必要な能力は多くの場合、企業内の教育によって培われてきた。しかし、予測できない雇用変化への対応は企業による教育のみでは限界があると考えられる。

企業による教育以外の、就業後の教育・訓練は、リカレント教育という概念で推進が進められてきた。リカレント教育は、就職してからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働,余暇など)を交互に行なうといった概念である。1970年に経済協力開発機構(OECD)が公式に採用し、1973年に「リカレント教育 −生涯学習のための戦略−」報告書が公表されたことで国際的に広く認知された。

我が国も、様々な形でリカレント教育を進めてきたが、環境は整っているとはいえず、その改善も重要になる。文部科学省が社会人(25〜50歳男女)に対して2015年度に実施した調査によると、リカレント教育の課題について、費用の次に多かったのが、勤務時間が長くて十分な時間がないということであった(図表4-5-3-3)。

図表4-5-3-3 学び直しの障害要因
(出典)イノベーション・デザイン&テクノロジーズ株式会社「社会人の大学等における学び直しの実態把握に関する調査研究」(2016)
(文部科学省平成27年度「先導的大学改革推進委託事業」)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1371459.htm別ウィンドウで開きます

こうした課題に対しては、様々なICTのツールの有効活用も重要である。「社会人の大学等における学び直しの実態把握に関する調査研究」でも、学び直しを行うための必要要件として、インターネットなどによる授業ができるシステムの整備を挙げる声が多かった(図表4-5-3-4)。

図表4-5-3-4 学び直しを行うための必要要件
(出典)イノベーション・デザイン&テクノロジーズ株式会社「社会人の大学等における学び直しの実態把握に関する調査研究」(2016)(文部科学省平成27年度「先導的大学改革推進委託事業」)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1371459.htm別ウィンドウで開きます

若い世代は学び直しの必要性を他の世代より強く感じている。AIによって業務が大きく変わる中で、自分にとって学び直しや職業訓練が必要になるかどうかを尋ねたところ、20代や30代で、「必要になる可能性は極めて高い」、「必要になる可能性が高い」という回答が多く、半数以上の人が学び直しの必要性を感じていることが明らかになった(図表4-5-3-5)。

図表4-5-3-5 学び直しや職業訓練の必要性(日本、年代別比較)
(出典)総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(2018)
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学び直しの必要性は、我が国よりも他国の方がより感じている。同じ調査をアメリカ、イギリス、ドイツで行ったところ、学び直しが「必要になる可能性が極めて高い」、「必要になる可能性が高い」と回答したのは、日本の合計36.0%(70代の回答を除く)に対して、アメリカは41.3%、イギリスは39.1%、ドイツは43.5%であった(図表4-5-3-6)。

図表4-5-3-6 学び直しや職業訓練の必要性(国際比較)
(出典)総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(2018)
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学び直しが必要となる内容については、日本とドイツは、外国語に関することが多い。各国とも、情報通信分野に関することが多く、日本は34.4%、アメリカは39.5%、イギリスは35.5%、ドイツは35.9%であった(図表4-5-3-7)。

図表4-5-3-7 学び直しの内容(国際比較)
(出典)総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(2018)
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