平成29年通信利用動向調査によると、AIの普及に対応するために企業が従業員に求める能力は、「論理的思考などの業務遂行能力」が最も割合が高い(図表4-5-3-1)。同様に、「企画発想力や創造性」、「人間的資質」についても、40%以上の企業が従業員に求める能力として挙げている。業務遂行能力、創造性、人間的資質は、どのような仕事に就いていても求められる能力であるから、AIが普及し業務の自動化が進んだ社会においても、これらの基礎的な能力の重要性は変わらないと考えられる。
AIなどの社会実装が進んだ社会においても、企業が求める業務遂行能力等の基礎的な能力の必要性は変わらないと考えられるが、個別業務に対応したスキルは業務の効率化が進むことや、新たな職業が創出されることにより変化することが予測される。例えば、AIがある企業に導入されれば、そのAIを活用できる人材が当該企業に必要になる。また、AIが企業に導入されて業務効率や生産性が向上すると、機械化可能性が高い職業のタスク量が減少することから、当該タスクを担当する従業員は、他のタスクを担当できるようなスキルの習得を求められるようになる。また、AIにより新たに創出される職業に求められるスキルの習得も必要になろう(図表4-5-3-2)。しかし、具体的にどのようなスキルが必要とされるかは、まだ予測が難しい。