総務省トップ > 政策 > 白書 > 30年版 > シェアリングエコノミーの経済効果の経路
第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第5節 シェアリングエコノミーの持つ可能性

3 シェアリングエコノミーの経済効果

(1)シェアリングエコノミーの経済効果の経路

シェアリングエコノミーの進展が経済に与える効果を定量的に把握することは、消費者同士の取引が存在することや、プラットフォーム事業者が非上場であることが多く一般的に困難であるが、定性的には供給不足の解消による消費拡大、潜在的需要が顕在化することによる消費拡大、周辺ビジネスの拡大という3種類の経路が考えられる(図表2-5-3-1)。

図表2-5-3-1 シェアリングエコノミーによる経済への貢献イメージ
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)
ア 供給不足の解消による消費拡大

シェアリングエコノミーが進展することによって、これまで市場に出ていなかった遊休資産が市場に出ることになる。結果として、これまで明確な需要はあったものの供給が不足していた製品・サービスの供給量が増加し、プラットフォーム上で需給がマッチングされることによって、消費が増加することが期待される。例えば、長期休暇やイベント等の影響によって需要が大きく変動する宿泊業においては、ピーク時に合わせた供給量を確保することは難しい。民泊サービスが存在することによって、既存の宿泊施設で吸収しきれない需要の増加に対して対応することが可能になり、その地域全体における観光客数の増加や観光客による消費の増加が見込まれる。

イ 潜在的需要が顕在化することによる消費拡大

シェアリングエコノミーの進展により価格や利便性の面で当該製品やサービスを入手することにかかる障壁が低下する。結果として、それまでの料金水準や利用のための手間の問題によって利用に至っていなかった潜在的利用者の需要が顕在化し、消費が拡大していくことが期待される。

ウ 周辺ビジネスの拡大

シェアリングエコノミーの進展に伴い、シェアリングプラットフォームを提供する事業者や、プラットフォームへの参加者に対して、新たな商品やサービスを提供するビジネスが拡大していくことが期待される。例えば民泊サービスにおいては、ホストとゲストの間での鍵の貸し借りする必要があるが、ホストの居住地と離れた別荘等を貸し出す場合や深夜にゲストが到着する場合等、直接鍵の受け渡しをすることが難しい場合も存在する。そこで、ホストから鍵を預かり、ゲストに貸し出すビジネスに対するニーズが生まれる。また、物件を民泊用にリノベーションするためのビジネスの拡大も考えられる。実際に、それぞれのサービスについて既に提供している事業者が存在する6

また、前項で紹介したアンケート結果において、シェアリングサービスを利用する際に確保されているべきものとして「サービス事業者による保証や介入の仕組みがあること」という回答が多かったように、シェアリングエコノミーの進展のためには、提供者、利用者双方の保護が必要になる。その必要性に着目したビジネスが登場しており、例えばシェアリングエコノミー協会は2016年7月から、協会員であるシェアリングサービスのプラットフォーム事業者を対象に、シェアリングエコノミーの提供サービスの種類ごとに商品設計した専用賠償責任保険を販売している7



6 https://www.keycafe.com/ja別ウィンドウで開きますhttps://renoful.jp/lp/index.html別ウィンドウで開きますを参照。

7 シェアリングエコノミー協会HP:https://sharing-economy.jp/ja/news/20161117/別ウィンドウで開きます

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る