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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第1節 人口減少時代の社会課題とICT

(1)女性・高齢者・障害者をはじめとする多様な人材の労働参加

労働参加率の向上について、特に期待されるのは女性、高齢者、障害者をはじめとする多様な人材の労働参加である。ここでは、多様な人材の労働参加について検討する前提として、女性、高齢者、障害者の労働参加の現状を整理する。

ア 女性

我が国の女性の就業率は、年々増加傾向にある(図表4-1-2-1)。2000年には我が国の女性の就業率はおよそ60%程度であったが、2016年にはおよそ70%弱の水準まで伸びている。この値はドイツやイギリスの水準には及ばないものの、その差は確実に縮小傾向にある。

図表4-1-2-1 15〜64歳女性の就業率(女性・国際比較)
(出典)OECD.stat

しかし、我が国においては現在でも89万人5の女性が出産や育児のために就業を希望するものの求職活動を行っておらず、出産や育児による離職は女性の労働参加に大きな影響を与えていると考えられる。女性の理想のライフコースについてのアンケート結果では、「出産するが、子供の成長に応じて働き方を変えていく」と回答する女性の割合は半数を超える(図表4-1-2-2)。このことから、さらなる女性の労働参加を可能とするためには、女性が子供の成長に合わせて柔軟に働き方を変えていけることが重要だと考えられる。

図表4-1-2-2 女性の理想のライフコース
(出典)内閣府「平成27年度少子化社会に関する国際意識調査報告書」(2015)より作成
イ 高齢者

日本の高齢者(65歳以上)の労働力率は、他国やOECDの平均と比較して高い水準にある6。その一方で、現在働いている高齢者の今後の就労意向を尋ねたところ、働けるうちはいつまででも働きたいと回答する高齢者の割合が最も高く、健康寿命が伸び元気な高齢者が増えている中で、年齢に関係なく元気である限り働きたいと考える高齢者への対応がより重要であると考えられる(図表4-1-2-3)。

図表4-1-2-3 現在働いている高齢者が何歳まで働きたいかの希望
(出典)内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査」(2014)
ウ 障害者

厚生労働省「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」7によると、2017年6月1日現在、雇用されている障害者は約49.6万人で、障害者雇用者数は、14年連続で過去最高となっている(図表4-1-2-4)。その一方で、法定雇用率を達成した企業の割合は50.0%と半数にとどまっているため、より多くの企業が障害者を雇用できるようになることが期待される。

図表4-1-2-4 民間企業における障害者の雇用状況89
(出典)厚生労働省「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」(2017)

以上のように、近年、我が国では女性、高齢者、障害者の労働参加率は上昇しているものの、さらなる労働参加率の向上や労働の質の向上について改善の余地はあり得る。



5 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」 2017年平均

6 OECD statによると、2016年の65歳以上の労働力率はOECD平均は14.5%である一方、我が国では22.8%である。

7 厚生労働省「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」(2017)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000187661.html別ウィンドウで開きます

8 雇用義務のある企業についての集計

9 「障害者の数」とは、次に掲げる者の合計数である。
2006年度まで:身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、重度身体障害者である短時間労働者、重度知的障害者である短時間労働者
2007年度以降:身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、重度身体障害者である短時間労働者、重度知的障害者である短時間労働者、精神障害者、精神障害者である短時間労働者(精神障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)
2011年度以降:身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、重度身体障害者である短時間労働者、重度知的障害者である短時間労働者、精神障害者、身体障害者である短時間労働者(身体障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)、知的障害者である短時間労働者(知的障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)、精神障害者である短時間労働者(精神障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)

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