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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第6節 グローバル需要の取り込み

(2)海外展開の意義

我が国産業の海外展開について、海外売上高の増加から捉えた場合、その経路としては、「輸出の増加」と対外投資を通じた「海外現地法人の売上高増加」の二つが挙げられる。「輸出の増加」は、我が国のGDP成長に直接寄与する。「海外現地法人の売上高増加」は、それが我が国企業の投資収益の向上につながる場合には、国民総所得 (GNI)を増加させ、国民一人ひとりの実質的な豊かさの向上に貢献し得る(図表2-6-1-2)。

図表2-6-1-2 産業の海外展開による経済貢献
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

また、それぞれの経路においては、ミクロではその目的やビジネスの性質等に応じて多様な手段が挙げられる。経済貢献として直接的な計上にはならないものの、ビジネスとして重要かつ有効な手段として「業務提携」が挙げられる。海外ビジネスなどの新規開拓においては、事業のバリューチェーン上で必要な要素を補完するために、パートナーを見つけて事業基盤を構築していくことが重要になる。そのため、国内企業あるいは海外企業との「業務提携」が有効な手段となる。

図表2-6-1-3 企業の海外展開手段の分類
(出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

国・地域間で行われる経済取引は国際収支統計より把握することができる。具体的には、貿易(製品の輸出入等)や投資(海外出資会社からの配当等)などの国際経済活動の区分けで整理することができる(図表2-6-1-4)。投資の収支を表す所得収支は、国外で発生した我が国の所得の受取と国内で発生した外国への所得の支払の差額であり、投資の対価の受取と支払の差額である投資収益が多くを占めている。

図表2-6-1-4 国際収支からみるICT産業の海外展開の貢献
(出典)財務省国際収支統計用語解説及び「国際収支統計(IMF国際収支マニュアル第6版ベース)」の解説

これらの国際収支の観点からは、直接的に我が国GDPに計上されるのは、輸出額(ICTであれば端末やインフラ機器等の輸出額)やサービスに係る特許等使用料、また対外直接投資については海外出資会社からの配当金等、投資収益の一部が国内経済に還流することになる。

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