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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
2 我が国社会のデジタル化の進展

(1)通信インフラ

デジタル化に当たっては、その基盤となる通信インフラが必要不可欠であるが、通信インフラはどのように普及していったのであろうか。

ア 固定通信

インターネットが普及し始めた1990年代後半の通信環境は、電話回線によるダイヤル接続が主流であったが、通信速度が十分ではない、従量課金型である、インターネット接続中は通話を行えないといった課題があった。

そのような中、1999年にADSLの商用が開始されたが、通話と同時にインターネット接続が可能で、定額料金・常時接続という形で提供されるという特徴があり、2000年代前半は、ADSLの普及が急速に進んだ(図表0-1-2-1)。

図表0-1-2-1 固定系ブロードバンドサービス等の契約数推移
(出典)総務省 「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」各年版を基に作成
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このADSLの普及などにより、インターネットの普及率は2000年代前半に大幅に増加した(図表0-1-2-2)。

図表0-1-2-2 インターネット利用率17
(出典)総務省 「通信利用動向調査」各年版を基に作成
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ADSLの普及に当たっては、様々な事業者間の競争により、料金の低廉化と高速化が進んだが、この競争の中で、2000年代後半から、光ファイバーを活用するより高速なFTTHサービスの普及が進んだ。

2006年度には、DSL契約数は初めて前年度比減少となった一方、FTTHの利用が急速に拡大している。このようにDSLからFTTHへの乗り換えが進み、2008年度にはFTTHがDSLの総契約数を超えた。e-Japan戦略において、超高速ネットワークの整備が目標として掲げられていたが、超高速ブロードバンド利用可能世帯は、2009年は90.1%、2015年には99.98%にも達している18 。このFTTHサービスは、現在でも固定系ブロードバンドサービスの主流となっている。

イ 移動通信

移動通信については、2020年12月末現在では契約数が約1億9千万以上に達し、人口普及率は約151%となっている(図表0-1-2-3)が、どのような経緯でこれほど普及したのだろうか。

図表0-1-2-3 通信サービス加入契約数の推移
(出典)総務省 「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」各年版を基に作成
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1996年から固定電話(加入電話)の契約数が減少傾向に転じたのに対し、携帯電話の契約数は、2000年には固定電話の契約数を超えるに至った。このような利用者数の拡大とともに、通信方式の進化などを通じて、ネットワークの高度化も急速に進められた。

このような進化により、携帯電話は、単に通話するだけではなく、インターネットに接続して様々なオンラインサービスを利用することが可能となった。

2001年には、世界に先駆けて我が国は第3世代移動通信システム(3G)の本格サービスが開始された。3Gの登場と前後して、カメラ付き携帯電話の搭載など、携帯電話端末の多機能化が一層進展したが、その中でも、アプリケーションサービス「iアプリサービス」が始まるなど、携帯電話端末で多様なコンテンツを利用できるようになったことが最も大きな特徴である。3Gの時代は、高速データ通信による本格的なマルチメディアが実現した時期に該当する。

また、2000年代後半のスマートフォン普及による影響も大きい。2007年にAppleが発表したスマートフォンiPhoneは、そのデザイン性の高さと使いやすさから世界的に人気を博し、世界的にフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が始まった。

持ち運びに不便であったパソコンと同等の機能がスマートフォンに搭載され、各種アプリケーションを活用することができ、携帯電話の利用場面が大きく増えた。2010年には、国内で初めてモバイル端末からのインターネット利用者数がパソコンからの接続者数を超えている(図表0-1-2-4)。このように、我が国におけるインターネット利用の中心は、パソコンからモバイルに移行しているといえる。2020年時点では、スマートフォン世帯保有率は8割を大幅に超えている19

図表0-1-2-4 インターネットを利用する際の利用機器の割合
(出典)総務省「通信利用動向調査」各年版を基に作成
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このようなスマートフォンの普及が進む中、2010年に第4世代移動通信システム(4G)の商用が開始された。3Gでは、LTEという規格が採用されたが、2014年には更なる高速化が進められたLTE-Advancedという規格が採用された。我が国では、2014年以降、この規格によるサービスが開始されているが、通信速度はメガレベルからギガレベルへと進化している。そのため、大容量の動画コンテンツであったとしても視聴することが可能となった。また、クラウド、ビッグデータ、IoT、AIやVR/ARといった新しい技術とも結びつき、新たなサービスが登場した。

さらに、2020年3月からは、我が国で第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが開始された20。超高速通信、超低遅延通信、多数同時接続という特徴を持つ5Gは、身の回りのあらゆるモノがネットワークに繋がるIoT時代の基盤になると期待されている21

以上のように、デジタル化の基盤である通信インフラについて、超高速・大容量化、スマートフォンによるモバイルでの利用拡大、モノがネットワークにつながるIoT化など、様々な形で進化を続けながら、普及が進んでいる(図表0-1-2-5)。

図表0-1-2-5 インターネットの普及の推移
(出典)総務省(2019)「令和元年版情報通信白書」を基に作成

また、OECDによると、我が国の固定系ブロードバンドに占める光ファイバーの割合やモバイルブロードバンド普及率(100人当たりのモバイルブロードバンド契約者数)は世界トップレベルであり、我が国のデジタルインフラは、国際的にみても普及が進んでいると言える(図表0-1-2-6図表0-1-2-7)。

図表0-1-2-6 固定系ブロードバンドに占める光ファイバーの割合
(出典)OECD Broadband statisticsを基に作成
図表0-1-2-7 モバイルブロードバンド普及率(2019年6月)
(出典)OECD Broadband statisticsを基に作成


17 令和元年調査の調査票の設計が一部例年と異なっていたため、経年比較に際しては注意が必要。

18 総務省(2016)「平成28年版情報通信白書」

19 総務省(2021)「令和2年通信利用動向調査」

20 2019年4月に世界初のスマートフォン対応モバイル5Gの商用サービスが韓国及び米国で開始されている。

21 総務省(2020)「令和2年版情報通信白書」

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