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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第1節 国民生活におけるデジタル活用の現状と課題

2 デジタル活用に対する期待

これまでデジタル化の現状について述べたが、デジタル化の進展に対する期待は、どの程度あるのだろうか。

まず、我が国におけるデジタル化が進んでいるかに関する所感を尋ねた(図表1-1-2-1)。全体としては、肯定的な回答(「進んでいる」及び「どちらかといえば進んでいる」)と否定的な回答(「進んでいない」及び「どちらかといえば進んでいない」)が拮抗する結果となった。

図表1-1-2-1 我が国のデジタル化の進展に対する意識(年代別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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続いて、世代別に見ると、若い世代ほど肯定的な回答の比率が高くなる傾向がうかがえる。また、いずれの世代でも「進んでいる」または「進んでいない」と明確に回答した比率が低くなったのも特徴的である。

また、ICTリテラシー別にみると、ICTリテラシーが中又は低い層は、肯定的な回答よりも否定的な回答が多いが、一方でICTリテラシーが高い層は、肯定的な回答が否定的な回答よりも10ポイント以上高いという点が特徴的である(図表1-1-2-2)。

図表1-1-2-2 我が国のデジタル化の進展に対する意識(ICTリテラシー別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-2-2 我が国のデジタル化の進展に対する意識(ICTリテラシー別)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

続いて、今後デジタル化が進展することによって、5年後の日本の社会がどのようになっていくかを尋ねた(図表1-1-2-3)。

図表1-1-2-3 デジタル化の進展による今後の日本社会
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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全体としては、「今より明るくなる」という肯定的な回答がやや多く、僅差で「変わらない」という回答が多い。「今より暗くなる」という否定的な回答は少ないことから、デジタル化の進展自体は否定的に捉えられていないことがうかがえる。

世代別に見ると、20〜29歳、30〜39歳は肯定的な回答が多い。40〜49歳は肯定的な回答がどの世代よりも少ないが、50歳〜59歳、60歳以上となると肯定的な回答が増えている。

一方で、「よくわからない」という回答は、若い世代(20〜29歳及び30〜39歳)は1割程度であるが、40歳以上では約2割程度となっており、60歳以上は24.5%にも達している。

以上のことから、主に若年層を中心とし、デジタル化の進展に対して肯定的な層が多いものの、デジタル化が進展しても社会が変化しない、もしくはデジタル化により社会がどう変わるかを具体的に認識していない層が一定数いると考えられる。

では、どのような理由により、今より明るい又は暗くなると考えているのだろうか10

アンケートの自由記述の回答結果を整理したところ、「今より明るくなる」と思う理由としては、「利便性の向上」、「自由時間の増加」といった個人の生活の質の向上やライフスタイルの変化に関するものがあった。他には、「人手不足の解消」、「環境負荷を抑えた社会の構築」や「平等な社会の構築」といった社会課題の解決につながるものもあった(図表1-1-2-4)。

図表1-1-2-4 デジタル化推進により「今より明るくなる」と思う理由
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」

一方で、「今より暗くなる」と思う理由としては、「コミュニケーションや人間関係の希薄化」、「デジタル格差の発生・拡大」、「情報漏えい、不正アクセス等のセキュリティ被害」、「中傷の発生」といった社会としての在り方や社会課題に関するものがあった(図表1-1-2-5)。

図表1-1-2-5 デジタル化推進により「今より暗くなる」と思う理由
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」

その中でも、「デジタル格差の発生・拡大」に関して多くの意見があったが、「今より明るくなる」と思う理由の中には「平等な社会の構築」に繋がるという意見があった。デジタル化推進により、「平等」と「格差」という真逆の方向のどちらにも進む可能性があるという意見が出ている点は特徴的である。



10 「今より明るくなる」又は「今より暗くなる」との回答者に対し、その理由を自由形式で尋ねており、その意見をランダムに抜粋している。

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