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第2部 基本データと政策動向
第3節 電波政策の展開

(2)高度道路交通システムの推進

総務省は、人やモノの安全で快適な移動の実現に向けて、情報通信技術を用いて「人」や、「道路」、「車」などをつなぐITS(Intelligent Transport Systems: 高度道路交通システム)の普及を推進することで、交通事故削減や渋滞解消などのための取組を促進している。これまで、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)やETC(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)、76/79GHz帯車載レーダーシステム、700MHz帯高度道路交通システム等で利用される周波数の割当てや技術基準等の策定を行うとともに、これらシステムの普及促進を図ってきた。

2020年(令和2年)7月にIT戦略本部において策定された「官民ITS構想・ロードマップ20201」では、2020年(令和2年)に、高速道路においてレベル3の自動運転が可能な自動車の市場化及び限定地域(過疎地等)での無人自動運転移動サービス提供の実現や、2025年(令和7年)目途に高速道路においてレベル4の自動運転が可能な自動車の市場化、物流での自動運転システムの導入普及、地域を限定した無人自動運転移動サービスの全国普及を目指すなど、将来像や目標を提示している(図表5-3-2-3)。

図表5-3-2-3 自動運転システムの市場化・サービス実現のシナリオ
(出典)高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議「官民ITS構想・ロードマップ2020」より抜粋

また、本構想・ロードマップでは、ITS・自動運転の実現に当たっては多量かつリアルタイムのデータ転送や交換が必要になると見込まれるため、情報通信インフラの整備が不可欠とされている。また、自動運転車やコネクテッドカーに対して携帯電話の技術を活用する動きも活発化している等、既存のITSの活用だけではなく、LTEや5Gを活用した自動運転システムの実現に向けた研究・実証が各国で行われており、自動運転、コネクテッドカーのニーズ等に対応するためには、5Gをはじめとする情報通信インフラの高度化も必要であるとされている。

これらを踏まえ、総務省では、5Gの普及・展開に向けた取組を進めているほか、V2X2用周波数として国際的にも検討が進められている5.9GHz帯に新たなV2Xシステムを導入する場合に必要となる周波数共用等に係る技術的検討を進めるなど、自動運転社会の実現に向けて取り組んでいる。

くわえて、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の事業である戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、一般道に設置される交通インフラからの信号情報や高速道路への合流支援情報等を活用する、インフラ協調型の自動運転技術による安全で快適な自動運転社会の実現を目指しており、2019年(令和元年)10月からは、国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカー、大学等計29機関が参加する東京臨海部での実証実験を実施している。SIPにおける総務省の取組としては、自動運転に通信が必要なユースケースにおいて、通信に求められる要求条件を技術的に検討するとともに、その通信の実現時期や自動運転車普及率など踏まえた情報通信技術ロードマップ案を策定するための検討を行っている。また、安心・安全な自動運転の実現に向け、周辺の交通状況を俯瞰的に把握できるよう、様々な情報源から得られる動的情報を連続的かつ正しく認知し、狭域又は中域といった対象エリアの広さに応じ、必要な情報を収集の上、リアルタイムに統合し、自動車に配信する技術の研究開発を行っている。



1 官民ITS構想・ロードマップ2020:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20200715/2020_roadmap.pdfPDF

2 V2X:vehicle to everythingを意味する。自動車と自動車(V2V:車車間通信)や、自動車とネットワーク(V2N)など、自動車と様々なモノの間の通信形態の総称。

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