第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
2 我が国社会のデジタル化の進展

(3)企業

企業のデジタル化については第1章第2節で詳述するが、我が国企業のデジタル化について、ICT投資額及びICT人材という観点で見てみる。

ア ICT投資額

企業のデジタル化に当たっては、デジタル化に当たってのインフラとなるICT投資が必要となるが、我が国ではどの程度ICT投資が進められているのだろうか。

OECD統計23によると、1989年の我が国のICT投資額(名目)は、14.3兆円であった。その後、1997年の20.0兆円をピークに減少傾向にあり、2018年は15.8兆円にとどまっている(図表0-1-2-9)。

図表0-1-2-9 日本のICT投資額(名目)の推移
(出典)OECD Stat

一方で、米国は、1989年に1,476億ドルであったが、2000年代前半及び2009年を除き、増加傾向が続いている。2018年には6,986億ドルとなっており、ここ30年間で4.7倍以上に増加している(図表0-1-2-10)。

図表0-1-2-10 米国のICT投資額(名目)の推移
(出典)OECD Stat

このように日本のICT投資額は、米国よりも大幅に少ない(図表0-1-2-11)。

図表0-1-2-11 日米のICT投資額(名目)の推移
(出典)OECD Stat

イ ICT人材

e-Japan戦略の重点政策分野の一つとして人材育成の強化が掲げられていたが、ここではIT人材(ICT人材)について、取り上げる。

令和元年版情報通白書で述べたとおり、ICT人材を取り巻く環境が大きく変化していく中で、我が国のICT人材は量的に不足している。例えば、経済産業省の調査では、2018年にIT人材は約22万人不足し、今後更に不足する見込みであると試算している24など、ICT人材の不足は今後ますます深刻化するとされている25



23 OECD Stat(https://stats.oecd.org/別ウィンドウで開きます)に掲載されているICT投資額のデータ。ICT投資額は、“National Accounts”→“Annual National Accounts”→“Detailed Tables and Simplified Accounts”→“8A. Capital formation by activity ISIC rev4”→“8A. Capital formation by activity ISIC rev4”に掲載されているハードウェア投資とソフトウェア投資の合計。ハードウェアは“ICT equipment, SNA08”、ソフトウェアは“Computer software and databases”を指す。

24 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年4月)の試算によれば、IT人材は2018年に約22万人不足しているが、2030年には中位シナリオで約45万人、高位シナリオで約79万人不足することが見込まれている。

25 ICT人材に求められるスキルも変化しており、セキュリティなどの高度なICTスキルや、デザイン思考やアジャイル開発のスキルなどが重要となっている。そのため、ICT人材の量だけではなく、質の面でも不足していると言われている。

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