総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > デジタル利用環境・サービス等の活用状況
第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第1節 国民生活におけるデジタル活用の現状と課題

(1)デジタル利用環境・サービス等の活用状況

ア 端末の利用状況

図表1-1-1-1では、通信利用動向調査における世帯での端末保有状況を見たが、個人ではどの端末を利用しているのだろうか。普段、私的な用途のために利用している端末について尋ねた(図表1-1-1-3)。

図表1-1-1-3 端末の利用状況
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-3 端末の利用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

最も多いのは、スマートフォン(89.4%)で全体の9割近くが利用していた。続いて、テレビ(50.8%)、ノートPC(48.5%)、タブレット(26.5%)の順で多く、テレビを除くと、持ち運びができる端末の利用が多い。

利用率が高い端末上位4つの利用状況について、年齢別に見る(図表1-1-1-4)。

図表1-1-1-4 各端末の利用状況(年齢別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」

スマートフォンについては、年齢が低い方が利用率は高いという傾向はあるものの、60歳以上であっても8割以上がスマートフォンを利用しており、他の端末と比較してもスマートフォンの利用率は高い。また、テレビやノートPCについては、年齢が高いほど利用率が高い傾向にある4。タブレットについては、いずれの世代も2〜3割程度で、年齢による違いは大きくない。

一方、第2章補論(コロナ禍における情報流通)で後述するとおり、テレビは「いち早く世の中のできごとや動きを知るメディア」、「世の中の動きについて信頼できる情報を得るメディア」としてよく利用されるメディアではあるが、利用率は全体でも50.8%にとどまっている。また、利用率は世代間での格差が見られ、20〜29歳では、37.5%にとどまっている点は大きな特徴である。

イ インターネット接続方法

続いて、住まいにおけるインターネットに接続するための方法について尋ねた(図表1-1-1-5)。

図表1-1-1-5 インターネット接続方法
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-5 インターネット接続方法」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

最も多いのは、光回線(54.1%)で全体の半数以上が利用しており、高速大容量の通信が利用できる環境を確保できているといえる。続いて、携帯電話等(32.7%)、モバイルWi-Fiルーター(27.8%)、ケーブルテレビ回線(13.5%)の順で多い。

インターネット接続方法の上位4つについて、年齢別に見る(図表1-1-1-6)。

図表1-1-1-6 インターネット接続方法(年齢別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」

光回線は、20〜29歳(42.0%)が少なく、30〜39歳もやや低い(54.5%)。また、携帯電話等は、20〜29歳(38.0%)及び30〜39歳(38.0%)が高い。モバイルWi-Fiルーターは20〜29歳(38.0%)が高い。ケーブルテレビ回線は、特に60歳以上(24.0%)が高い一方、20〜29歳(8.0%)、30〜39歳(6.0%)が低い。

このように、39歳以下と40歳以上でやや違いがあり、39歳以下の世代では、モバイルによるインターネット接続が多い。

ウ 情報リテラシー

第2章補論(コロナ禍における情報流通)で後述するとおり、インターネット上の情報には様々なフェイクニュース・偽情報が流れており、また、個人情報やプライバシー保護も重要である。デジタル活用に当たっては、そのような問題に適切に対処することが不可欠であり、そのためには情報リテラシー(ICTリテラシー)を身に着けておくことが重要である。

情報リテラシーといっても様々な側面があるが、ここではSNSの利用等に関する5つの具体的なケースにおいて、情報リテラシーを有する場合、あてはまると考えられる内容について、あてはまるかどうか尋ねた(図表1-1-1-7)。

図表1-1-1-7 SNS利用に関する情報リテラシー
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-7 SNS利用に関する情報リテラシー」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

いずれのケースにおいても、あてはまる(非常にあてはまる又はあてはまる)との回答が4割〜6割程度を占めていたが、特に多かったのが「情報の真偽を確かめるために、複数の情報源を比較することができる」(64.9%)、特に少なかったのが「情報の発信者を特定でき、その信頼性を判断することができる」(43.0%)であった。このことからは、フェイクニュースや偽情報が多くあることを認識し、複数の情報源を比較することまでは実施しているものの、情報の信頼性までは判断できていないという状況がうかがえる。

続いて、上記5つのケースに対する回答結果をもとに、日本の利用者の情報リテラシーを高、中、低に分類した5図表1-1-1-8)。

図表1-1-1-8 SNS利用に関する情報リテラシー(年齢別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-8 SNS利用に関する情報リテラシー(年齢別)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

その結果、情報リテラシー中(50.2%)、低(26.9%)。高(22.9%)の順に多かった。

年齢別で見ると情報リテラシー高は、20〜29歳が最も多く(43.5%)、年齢が上がるにつれて割合が低下している。一方、情報リテラシー低については、年齢が上がるとともにその割合が増え、60歳以上が最も多い(49.5%)6

エ デジタルサービスの活用状況
(ア)インターネットを利用したサービスの利用状況(国内)

デジタルサービスの活用状況について、インターネットを利用したサービスの利用状況から見る。アンケートにおいて、インターネットを利用したサービスについて、普段の利用状況について尋ねた(図表1-1-1-97

図表1-1-1-9 普段利用しているインターネットサービス
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-9 普段利用しているインターネットサービス」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

その結果、「インターネットショッピング」(73.4%)や「支払い・決済(クレジットカード等)」(66.9%)と消費に関するサービスの利用が最も多かった。続いて、移動等の際に利用する「地図・ナビゲーション」(61.4%)、情報収集のために利用する「情報検索・ニュース」(57.9%)、娯楽等に利用する「動画配信」(55.6%)となっている。

このように様々な分野でインターネットを利用したサービスが利用されており、また、いずれのサービスも利用していないのは、6.3%にとどまっていることから、デジタル活用は日常生活に浸透しているといえる。その中でも、特にインターネットショッピング、支払い・決済、動画配信等の生活やエンターテインメント関係の利用が中心となっている。

一方で、公的サービスの利用率は19.7%にとどまっているなど、一部のサービスでは利用率が低い。

(イ)インターネットを利用したサービスの利用状況(国際比較)

続いて、各国で利用しているサービスを見る。各国の回答者が利用しているサービスについては、国ごとに違いが出ており、全体として中国の回答者は他国と比べて各サービスの利用率が高く、特に「ソーシャルゲーム・オンラインゲーム」、「健康管理・運動記録」や「QRコード決済」の利用が他国より多くなっている。

一方で、我が国においては、「インターネットショッピング」、「支払い・決済」、「地図・ナビゲーション」といったサービスの利用者が多い(図表1-1-1-10)。

図表1-1-1-10 普段利用しているインターネットサービス(各国比較)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-10 普段利用しているインターネットサービス(各国比較)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
(ウ)インターネットを利用したサービスの利用状況(各サービス)

上記のとおり、インターネットを利用したサービスは普及しているが、その活用状況に違いがあるのだろうか。各サービスの利用状況について、年齢による違いがあるかどうかを見る。

A インターネットショッピング及びオークション・フリマ

まずは、生活に身近な消費に関するツールである、インターネットショッピングとオークション・フリマ8について見る(図表1-1-1-11)。

図表1-1-1-11 インターネットショッピング及びオークション・フリマの利用状況
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-11 インターネットショッピング及びオークション・フリマの利用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

インターネットショッピングの利用率は、全体で73.4%である。どの世代においても利用率は70%〜80%前後であり、世代間の差は少ない。インターネットショッピングは、どの世代でもまんべんなく普及していると言える。

オークション・フリマの利用率は、全体で33.0%にとどまる。世代別で見ると、20〜29歳及び30〜39歳が最も多く(いずれも40.0%)、年齢が上がるにつれてやや利用率が低下する傾向にある。

B 支払い・決済(クレジットカード、デビットカード)及びQRコード決済

続いて、消費に関するツールであるQRコード決済と支払い・決済(クレジットカード、デビットカード)について見る(図表1-1-1-12)。

図表1-1-1-12 支払い・決済(クレジットカード、デビットカード)及びQRコード決済の利用状況
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-12 支払い・決済(クレジットカード、デビットカード)及びQRコード決済の利用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

支払い・決済(クレジットカード、デビットカード)の利用率は、全体で66.9%であり、年齢別で見ると、どの世代においても利用率は70%前後であり、世代間の差は少ない。クレジットカードやデビットカードによる支払い・決済は、どの世代でもまんべんなく普及していると言える。

QRコード決済の利用率は、全体で51.1%であり、年齢別に見ると、30〜39歳(62.5%)、20〜29歳(61.0%)の順に多く、年齢が上がるにつれてやや利用率が低下する傾向にある。

C 音楽配信及び動画配信

続いて、エンターテインメントに関するサービスである音楽配信及び動画配信について見る(図表1-1-1-13)。

図表1-1-1-13 音楽配信及び動画配信の利用状況
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-13 音楽配信及び動画配信の利用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

音楽配信の利用率は、全体で27.8%であり、年齢別でみると20〜29歳が最も多く(43.5%)、続いて30〜39歳は27.0%と大幅に低下し、さらに年齢が上がると利用率も低下する傾向にある。

動画配信については、音楽配信よりも利用率が高く、全体で55.6%である。年齢別に見ると、20〜29歳が最も多く(70.5%)、年齢が上がるとほぼ利用率が低下する傾向にある。

D ソーシャルメディア

続いて、コミュニケーションのツールである、SNSとメッセージサービス9について見る(図表1-1-1-14)。

図表1-1-1-14 SNS及びメッセージサービスの利用状況
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-14 SNS及びメッセージサービスの利用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

SNSの利用率は、全体で48.6%であるが、年齢別で見ると20〜29歳が最も多く(71.5%)、年齢が上がるにつれて利用率が低下している。

メッセージングサービスの利用率は、全体で50.0%とSNSと同じ程度である。年齢別に見ると、20〜29歳が最も多く(64.5%)、年齢が上がるにつれて利用率が低下するという傾向はSNSと同様ではあるが、60歳以上でも利用率は34.0%あり、世代間の利用率の差はSNSより少ない。

E 公的サービス

最後に、利用があまり進んでいない公的サービス(政府機関や地方公共団体が提供するオンラインサービス)について見る(図表1-1-1-15)。

図表1-1-1-15 公的サービスの利用状況
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-1-15 公的サービスの利用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

公的サービスの利用率は、全体で19.7%であるが、年齢別で見ると60歳以上が最も多く(26.5%)、40〜49歳が最も低い(15.0%)。

年齢が低いと利用率が高くなるサービスが多いが、公的サービスでは60歳以上の利用率が高いことが特徴的である。

これまで見てきたとおり、インターネットを利用したサービスは、一定程度国民生活に浸透しており、インターネットショッピングや支払い・決済(クレジットカード・デビットカード)等の生活に密着したサービスでは、年代を問わず広く普及しているが、動画配信等のエンターテインメント関係や公的サービス等は、年代によって利用率が低下している。このように、デジタルサービスの活用状況は、サービスによっては、年代により活用状況に差が生じているといえる。



4 ノートPCについては、20〜29歳の利用率が高いが、理由としては、大学の授業等でノートPCを利用する機会が多いことなどが考えられる。

5 各設問において、非常にあてはまる4点、あてはまる3点、あてはまらない2点、まったくあてはまらない1点とし、それらの合計得点により、低:5-9点、中:10-15点、高:16-20点と分類した。なお、本白書において、情報リテラシー(ICTリテラシー)が高・中・低という場合は、ここでの分類を指す。

6 ここでいう情報リテラシーのスコアリングには、SNSに関する設問も含まれており、年齢が上がるにつれてSNSの利用率が低くなるという傾向がある点には留意が必要。

7 支払い・決済は「クレジットカード、デビットカード」、地図・ナビゲーションは「駅探、Googleマップ、百度地図等」、動画配信は「YouTube、AmazonPrime、Netflix、優酷(Youku)等」、QRコード決済は「PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、Walmart Pay、Venmo、支付宝、微信支付」、メッセージングサービスは「LINE、WhatsApp、Facebook Messenger、WeChat、Skype、Telegram等」、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は「Facebook、Twitter、mixi、Instagram、Tiktok、Clubhouseなど」、オークション・フリマは「ヤフオク!、メルカリ、ラクマ等」、音楽配信は「AppleMusic、YouTube Music、Spotify 、QQ Music等」、公的サービスは「政府機関や自治体等の公的機関が提供するオンラインサービス」を指す。

8 ヤフオク!、メルカリ、ラクマ等。フリマ(フリマアプリ)とは、インターネット上の仮想のフリーマーケット内で出品者と購入者が個人間でのやり取りを通して物品の売買を可能としたスマートフォンアプリのことを指す。

9 LINE、WhatsApp、Facebook Messenger、WeChat、Skype、Telegram等。メッセージの送受信が可能なアプリケーションを指す。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る