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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第1節 コロナ禍で拡大したデジタル活用

(4)消費者アンケートからみるデジタル活用の現状

ア コロナ禍で利用したデジタルサービス

新型コロナウイルス感染症の流行により、どのようなサービスの利用が増えているのだろうか。1回目(2020年4月〜5月)及び2回目(2021年1月〜3月)の緊急事態宣言が発出されたときに、どのようなサービスを利用したかについて尋ねた(図表2-1-3-7)。

図表2-1-3-7 緊急事態宣言下で利用したサービス
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表2-1-3-7 緊急事態宣言下で利用したサービス」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

1回目の緊急事態宣言時に利用されたサービスは、インターネットショッピング(57.1%)、電子マネー・電子決済・QRコード決済(44.0%)、ネット動画配信(39.9%)、非接触型の検温(34.7%)の順で多かった。

2回目の緊急事態宣言時に利用されたサービスは、第1回のときとほぼ同様で、インターネットショッピング(42.1%)、電子マネー・電子決済・QRコード決済(33.7%)、非接触型の検温(28.3%)、ネット動画配信(27.3%)の順で多かった。

緊急事態宣言1回目から2回目までの各サービスの利用減少率を見ると、いずれのサービスも利用が減少している(図表2-1-3-8)。

図表2-1-3-8 各サービスの利用減少率(緊急事態宣言1回目から2回目)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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特に、インターネットショッピング(△15.0%)、ネット動画配信(△12.6%)、電子マネー・電子決済・QRコード決済(△10.3%)と、いずれも1回目に利用が多かったサービスが大きく減少していた。

すなわち、第1回緊急事態宣言発出時に、一時的にこれらのデジタルサービスを利用したが、その後は利用していない層が一定数いるということが伺える。

イ コロナ収束後におけるサービス利用意向

続いて、新型コロナウイルス感染症拡大の収束後に利用したいサービスについて尋ねた(図表2-1-3-9)。

図表2-1-3-9 新型コロナ感染症拡大の収束後に利用したいサービス
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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収束後に利用したいサービスとして最も多かったのは、インターネットショッピング(28.4%)であった。ただし、インターネットショッピングの利用率は、緊急事態宣言1回目は57.1%、2回目は42.1%であることに鑑みると、緊急事態宣言時に利用したものの、一時的な利用にとどまる層が一定数いるということが伺える。

また、インターネットショッピングに続く、電子マネー・電子決済・QRコード決済(26.3%)、ネット動画配信(22.6%)についても、緊急事態宣言時よりも減少しており、同様の傾向にある。ただし、4番目に多いオンラインバンキング(22.4%)については、緊急事態宣言1回目(27.0%)より少ないながらも、2回目(20.6%)よりは多いことから、定着傾向にあることが伺える。

また、当てはまるものはない(45.8%)も多いことから、デジタルサービスの利用に消極的な層も一定数いるということが伺える。

続いて、年収別に見ると、年収800万以上は、利用したいサービスについて、オンライン会議では26.8%(全体は16.8%)、オンラインでの研修や教育の受講では24.0%(全体では14.9%)となるなど、全体よりも5ポイント以上高くなるものが多いことが特徴的である。

また、「分からない・答えたくない」という回答者は全体よりも利用したいサービスが5ポイント以上低くなるものが多く、特に当てはまるものがないでは60.9%(全体では45.8%)となることも特徴的である(図表2-1-3-10)。

図表2-1-3-10 新型コロナ感染症拡大の収束後に利用したいサービス(年収別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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続いて、ICTリテラシー別9に見ると、ICTリテラシーが低い層は、利用したいサービスについて、インターネットショッピングでは17.8%(全体では28.4%)、電子マネー・電子決済・QRコード決済では16.0%(全体では26.3%)となるなど、全体よりも5ポイント以上低くなるものが多い。また、当てはまるものがないが65.4%(全体では45.8%)となることも特徴的である(図表2-1-3-11)。

図表2-1-3-11 新型コロナ感染症拡大の収束後に利用したいサービス(ICTリテラシー別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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また、各国(日本、米国、ドイツ、中国)居住者に、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まった後に利用したいサービスについて尋ねた10。対象国全体の傾向としては、インターネットショッピング、オンラインバンキングやネット動画配信が収束後に利用したいサービスの上位となった(図表2-1-3-12)。

図表2-1-3-12 新型コロナ感染症拡大の収束後に利用したいサービス(各国比較)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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日本とそれ以外の国を比較してみると、ほぼどのサービスでも、中国居住者の利用意向が最も高く、その後はドイツ、僅差で米国が高い一方、日本はどのサービスも利用意向が低い。また、当てはまるものはない(利用したいサービスはない)という回答は、米国(19.0%)、ドイツ(17.3%)、中国(2.8%)と比較して大幅に高くなっており、45.8%にも達している。これらを踏まえると、他国と比べ、我が国のデジタルサービスの利用は、引き続き慎重となる可能性がある。

ウ デジタル化の進展で利用が進むサービス

続いて、今後、世の中のデジタル化が進展することで、利用が進むと考えられるサービスについても尋ねた(図表2-1-3-13)。その結果、「キャッシュレス決済」(77.0%)、「インターネットショッピング」(72.9%)や「オンライン会議」(71.8%)が上位となっている。

図表2-1-3-13 デジタル化の進展により利用が進むと考えられるデジタルサービス
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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回答の選択肢が異なるため単純に比較できるわけではないが、自らが利用したいかどうかを尋ねた図表2-1-3-9では、最も多いインターネットショッピングでも28.4%にとどまっていることから、自分自身が利用するかは別として、デジタル化の進展に伴い、社会全体としては利用が進むものと考えられているデジタルサービスが多いことが推察される。

なお、「今より増える」という回答が少ないものとしては、「公共交通機関やマイカー等の交通手段の利用」(27.2%)であるが、それに次いで「シェアリングサービス」(48.9%)も少なくなっている。

シェアリングサービス(シェアリングエコノミー)については、一般社団法人シェアリングエコノミー協会及び株式会社情報通信総合研究所が2020年12月に公表した調査では、シェアリングサービスには様々なカテゴリがあり(図表2-1-3-14)、新型コロナウイルスによる影響はプラスとマイナスの双方があると分析している(図表2-1-3-15)。

図表2-1-3-14 シェアリングエコノミーのカテゴリ及びサービス例
(出典)一般社団法人シェアリングエコノミー協会・情報通信総合研究所(2020)「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査結果」を基に総務省作成
図表2-1-3-15 新型コロナウイルスの影響(シェアリングエコノミー)
(出典)一般社団法人シェアリングエコノミー協会・情報通信総合研究所(2020)「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査結果」


9 第1章第1節図表1-1-1-7で示す情報リテラシー(ICTリテラシー)に関する5つの質問に対する回答結果をもとに、ICTリテラシー高・中・低の3つに分類したもの。詳細は、第1章第1節の脚注5参照。

10 新型コロナウイルス感染症の拡大が収まったとは、新型コロナワクチン等が居住地に普及して予防や治療ができるようになった時期を想定している。

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