我が国は、高度経済成長期を経て、世界有数の経済大国となったが、ICT関連製造業についても生産・輸出が1985年頃まで増加傾向にあり、「電子立国」とも称されていた。
2000年代に入ってからは、ICT関連製造業の生産額が減少傾向に転じ、2000年代後半には輸出額も減少傾向にあるが、それ以前の成功体験により、抜本的な変革を行うよりも、個別最適による業務改善が中心となり、デジタル社会の到来に対応できていないと言われている。
ただ、そのような現状においても、国民生活や社会活動を維持できており、デジタル化の必要性を強く感じていないという指摘もある。我が国の生産性が向上していないことから分かるように、技術(デジタル)で解決できることを人材の質・量で解決しているとも言われる。その意味では、デジタル化を進めることで生産性が大きく向上する余地があるとも言えるが、既に危機的な状況に陥っているにも関わらず、変化によって対応することができていない、「ゆでガエル現象」が生じている可能性がある。
なお、これまで社会インフラの整備が十分に行われていなかった新興国において、既存のデジタルインフラやサービスの制約が少ないことを逆手にとって、新しいデジタルサービスが急速に普及する「リープフロッグ」が生じている例も出てきている。