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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題

(9)デジタル・トランスフォーメーションにおける課題

デジタル・トランスフォーメーションを進める上での課題について尋ねた結果が図表1-2-4-22である。「人材不足」はいずれの国でも上位に来ているが、日本は特に多く、ダントツの1位となっている。他には「費用対効果が不明」、「資金不足」、「ICTなど技術的な知識不足」、「既存システムとの関係性」といったあたりが上位となっている。

図表1-2-4-22 デジタル・トランスフォーメーションを進める際の課題
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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米国では、「業務の変革等に対する社員等の抵抗」、「規制・制度による障壁」、「文化・業界慣習による障壁」も他の2か国と比べて高くなっているのが特徴的である。

いずれの国でも上位に挙がった人材について、具体的にどのような人材が不足しているか尋ねた結果が図表1-2-4-23である。いずれの人材も「大いに不足している」又は「多少不足している」と回答した企業が、いずれの国でもほぼ6割以上となっている。

図表1-2-4-23 デジタル・トランスフォーメーションの推進にあたって不足している人材
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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他方、日本は他の2か国と比べて「そのような人材は必要ない」との回答比率が高く、「UI・UXに係るシステムデザインの担当者」、「AI・データ解析の専門家」については1割程度の企業がそのように回答している。

不足しているデジタル人材の確保・育成に向けて各企業がどのように取り組んでいるかを尋ねた結果が、図表1-2-4-24である。日本では「社内・社外研修の充実」を挙げる企業が多い一方、「特に何も行っていない」との回答比率も高く、社内の現有戦力で乗り切ろうとしている傾向がうかがえる。

図表1-2-4-24 デジタル人材の確保・育成に向けた取組
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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他方、米国は「デジタル人材の新規採用」、「デジタル人材の中途採用」、「関連会社からの異動・転籍」が他の2か国よりも多い。もともと雇用が流動的な国であるが、社内で不足する人材は外部から積極的に登用しようとする姿勢がみてとれる。

ちなみに、我が国ではICT人材がICT企業に多く配置されていることが指摘されている。令和元年版情報通信白書に掲載した独立行政法人情報処理推進機構の調査によると、ICT企業に所属するICT人材の割合は、2015年時点で日本が72.0%であるのに対し、米国では34.6%、英国では46.1%、ドイツでは38.6%等となっており、ユーザ企業におけるICT人材の確保は以前からの課題となっている(図表1-2-4-25)。

図表1-2-4-25 主要国におけるICT人材の配置
(出典)令和元年版情報通信白書

図表1-2-4-22の課題で挙がっていた既存システム(レガシー)との関係性について、具体的な課題を尋ねた結果が図表1-2-4-26である。もともと既存システムの存在を問題視する企業は、各国とも2割程度存在しているが(図表1-2-4-22参照)、「機能が制約となってビジネスプロセスを変えられない」との回答がいずれの国でも多い結果となった。デジタル・トランスフォーメーションを進めていく上で、既存システムの存在が壁となっている状況がうかがえる。

図表1-2-4-26 デジタル・トランスフォーメーションの課題(既存システム)
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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