総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > 生産性向上の必要性
第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題

1 デジタルによる生産性向上

(1)生産性向上の必要性

一人当たりGDPを拡大し経済的な豊かさを実現するには、生産性を向上させることが必要となる。この「生産性」を定量的に表す指標の一つとして「労働生産性」があり、一般に、就業者一人当たりあるいは就業1時間当たりの経済的な成果1として計算される。この労働生産性について、我が国の国際的な位置づけをみてみると、2019年時点で米国を始めとするG7各国の中で最下位となっている(図表1-2-1-1)。例えば、米国の労働生産性と比較すると、日本は約6割の水準となる。このように、海外の主要国と比較して日本の労働生産性は決して高いとは言えない水準である。

図表1-2-1-1 労働生産性の国際比較(2019年)
(出典)成長戦略会議(2020.11.19)資料

労働生産性の伸び率は、就業者1人当たりの就業時間の伸び率と時間当たり労働生産性の伸び率の合計で表すことができる。我が国の労働生産性の伸び率は、2012年から2019年までで年率0.2%という結果になった。その内訳をみると、時間当たり労働生産性の伸び率は年率1.0%で、G7中フランスと並んでトップとなっている。他方、就業者1人当たりの就業時間の伸び率は年率−0.8%と、G7各国の中では最も短縮している(図表1-2-1-2)。

図表1-2-1-2 労働生産性の伸び率(2012−2019年)
(出典)成長戦略会議(2020.11.19)資料

就業者一人当たりの就業時間をG7各国で比較すると、2019年の我が国は1,702時間とイタリア及び米国に次いで長い結果になった(図表1-2-1-3)。また、時間当たり労働生産性は、2019年の我が国は44.6ドル/時間となっており、G7各国の中で最下位となっている(図表1-2-1-4)。

図表1-2-1-3 就業者一人当たりの就業時間(2019年)
(出典)成長戦略会議(2020.11.19)資料
図表1-2-1-4 時間当たり労働生産性(2019年)
(出典)成長戦略会議(2020.11.19)資料


1 企業レベルでは収益(売上から中間投入を差し引いた額)、国レベルではGDPに相当する、いわゆる付加価値額に相当する。

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