第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第1節 国民生活におけるデジタル活用の現状と課題

5 まとめ

これまで見てきたとおり、国民生活におけるデジタル活用について、急速に普及が進むスマートフォンは、ほぼ全ての年代で利用が進んでおり、モバイル端末によるインターネット利用が拡大している。また、インターネットへの接続方法としても、光回線の利用が全体の半数を占めている。これらのことから、インターネットをどこでも利用できる環境が整っており、また、家庭では高速大容量通信が可能な環境が多く、デジタル利用に向けたインフラ環境は整っていると言えるだろう。

また、インターネットを利用したサービスの利用状況についても、インターネットショッピング、クレジットカード等による支払い・決済、地図・ナビゲーション、情報検索・ニュースや動画配信などの生活やエンターテインメントに関する利用が中心となっている。その中でも、インターネットショッピングやクレジットカード等による支払いは、どの世代でも利用率が70〜80%程度となっており、世代を問わず、我々の日常生活に定着している。一方で、ソーシャルメディアやメッセージングサービスの利用率は年齢が上がるにつれて低下するなど、世代によって定着状況が異なるものがある。また、普段利用する機会が少ない公的サービスの利用率が低い等、利用率はサービスによって異なる。

このようなデジタル活用の現状に対し、国民の意識としては、我が国のデジタル化が進んでいるかどうかは肯定的・否定的な見解が拮抗しているが、今後のデジタル化に対する期待は高い。一方で、デジタル化が定着するかについては、「ほとんど定着する」という見方は「消費」以外の分野では、1割程度にとどまっている。また、より多くデジタル利用を経験することでデジタル活用が定着する傾向にあることから、継続的なデジタル利用経験がデジタル活用の定着には必要と考えられる。

そのため、デジタル化の定着に向けた取組を推進することが重要であるが、デジタル化推進の課題としては、情報セキュリティやプライバシー漏洩に関する不安やリテラシー不足等がある。プライバシーに関しては、総務省が2021年に実施したアンケート調査では、パーソナルデータ提供に不安に感じる割合について、2020年と比べて低下しているものの、依然として7割近くが不安に感じている状況にあり、このような不安を解決するための取組が求められる。また、高齢者(特に70歳以上)は、リテラシーが十分にないこと等の理由から、情報通信機器の利用が進んでない状況にあり、デジタル活用を支援することが必要である。

このように我が国の実態を踏まえた上でデジタル化推進に関する課題の解決を通じて、我が国のデジタル化を更に進めることが今後求められる。

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