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第2部 基本データと政策動向
第2節 電気通信事業政策の展開

(3)電気通信紛争処理委員会によるあっせん・仲裁等

ア 電気通信紛争処理委員会の機能

電気通信紛争処理委員会(以下「委員会」という。)は、技術革新と競争環境の進展が著しい電気通信分野において多様化する紛争事案を迅速・公正に処理するために設置された専門組織であり、現在、総務大臣により任命された委員5名及び特別委員8名が紛争処理にあたっている。

委員会は、①あっせん・仲裁、②総務大臣からの諮問に対する審議・答申、③総務大臣に対する勧告という3つの機能を有している(図表5-2-1-2)。

図表5-2-1-2 電気通信紛争処理委員会の機能の概要

また、委員会事務局に事業者等相談窓口を設けて、事業者間の紛争に関する問合せ・相談等に対応している。

(ア)あっせん・仲裁

あっせんは、電気通信事業者間、放送事業者間等で紛争が生じた場合において、委員会が有識者である委員・特別委員の中から「あっせん委員」を指名し、あっせん委員が両当事者の歩み寄りを促すことにより紛争の迅速・公正な解決を図る手続である。必要に応じ、あっせん委員があっせん案を提示する。両当事者の合意により進められる手続のため、強制されることはない。

仲裁は、原則として、両当事者の合意に基づき委員会が委員・特別委員の中から3名を「仲裁委員」として指名し、仲裁委員による仲裁判断に従うことを合意した上で行われる手続であり、仲裁判断には当事者間において確定判決と同一の効力が発生する。

(イ)総務大臣による協議命令・裁定

電気通信分野においては、電気通信事業者間での電気通信設備の接続又は共用、電気通信設備設置用工作物の共用若しくは卸電気通信役務の提供に係る協議が不調になった場合等に、電気通信事業法の規定に基づき、当事者は総務大臣に対して協議命令の申立て、裁定の申請等を行うことができる。

放送分野においては、ケーブルテレビ事業者等と地上テレビジョン放送事業者間での再放送同意について協議が不調になった場合等に、放送法(昭和25年法律第132号)の規定に基づき、当事者は総務大臣に対して裁定の申請を行うことができる。

総務大臣は、これらの協議命令、裁定等又は電気通信事業者に対する業務改善命令等を行う際には、委員会に諮問しなければならないこととされている。委員会は、総務大臣から諮問を受け、これらの事案について審議・答申を行う。

(ウ)総務大臣への勧告

あっせん・仲裁、諮問に対する審議・答申を通じて明らかになった競争ルールの改善点等について、委員会は、総務大臣に対し勧告することができる。なお、総務大臣は、委員会の勧告を受けたときは、その内容を公表することになっている。

イ 委員会の活動の状況

2020年(令和2年)度は、総務大臣からの諮問に対する審議・答申について、日本通信株式会社から申請(2019年(令和元年)11月15日)された株式会社NTTドコモの音声通話サービスに係る卸電気通信役務の提供に関する裁定事案に関し、総務大臣からの諮問(2020年(令和2年)2月4日)を受けて審議を行い、2020年(令和2年)6月12日に答申を行った。

その他、あっせん・仲裁についての申請はなかったが、事業者等相談窓口において、相談対応13件を行った。

なお、2001年(平成13年)11月の委員会設立から2021年(令和3年)3月末までに、あっせん69件(図表5-2-1-3)、仲裁3件の申請を処理し、総務大臣からの諮問に対する答申11件、総務大臣への勧告3件を実施している。

図表5-2-1-3 あっせんの処理状況
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