（10）デジタル・トランスフォーメーションの進展による影響
ア デジタル・トランスフォーメーションの進展度と売上高の関係
続いて、各企業におけるデジタル・トランスフォーメーションの取組状況に応じて、デジタル・トランスフォーメーション（DX）の進展度31を1から3まで定義し、進展度に応じて、企業の売上高にどのような影響があるかを測定した。
いずれの国においても、DX進展度の高い企業ほど、2020年度は2019年度に比べて売上高が増加したと回答した企業の比率が高い結果となった。デジタル・トランスフォーメーションの取組と売上高との因果関係はこのデータだけでは読み取れないが、相関関係は有していることは明らかとなった（図表1-2-4-27）。
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イ デジタル・トランスフォーメーションが進展した場合における売上高への影響（シミュレーション）
我が国において、デジタル・トランスフォーメーションに取り組む企業の進展度が米国並みに増加した場合を想定し、売上高にどの程度のインパクトがあるのかをシミュレーションした。
シミュレーションでは、アンケート調査の回答及び「法人企業統計調査（令和2年10〜12月期の結果）」32をもとに、デジタル・トランスフォーメーション実施企業及び未実施企業の業績（売上高の増減の平均）を計算した。なお、実施企業については、DX進展度（脚注31参照）に分けて売上高の増減を計算した33。
続いて、デジタル・トランスフォーメーションに取り組む企業が米国並み34になった場合、我が国の産業全体でどの程度（対前年度比）売上高が増加するのか、製造業と非製造業に分けてシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果が図表1-2-4-28である。製造業では5.7％、非製造業では4.2％の売上高押し上げ効果が見られた。これを金額に換算すると、製造業では約23兆円、非製造業では約45兆円の押し上げ効果となる。
31 ここでは以下の定義に基づいて、各企業におけるDX進展度を設定している。
DX進展度1：「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれにおいても実施していない企業
DX進展度2：「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれかにおいて1つ以上実施しており、かつ、2019年度に「明確な部署・プランの策定」を1つも実施していない企業
DX進展度3：「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれかにおいて1つ以上実施しており、かつ、2019年度に「明確な部署・プランの策定」を1つ以上実施している企業
※DXに関連した取組：図表1-2-4-9にある「推進部署の立ち上げ」、「推進担当の設置」、「DXビジョン・ロードマップの策定」、「DXに関連する教育・人材育成プランの策定」、「外部企業等との連携・協業の推進」及び「主導側と現場側との意識合わせ」の6つの取組
※明確な部署・プランの策定：「DXに関連した取組」から「外部企業等との連携・協業の推進」及び「主導側と現場側との意識合わせ」を除いた4つの取組
32 アンケート調査は令和3年2-3月に実施したが、その時点では法人企業統計調査の令和３年1-3月期の結果は未公表であったため、令和2年10-12月期（製造業：−5.4％、非製造業：−4.1％）と同値と仮定した場合における年率（製造業：−11％、非製造業：−9％）を用いてシミュレーションを行った。
33 アンケート（図表1-2-4-27）に回答した日本企業の比率を、実際に存在する企業の比率に比重調整を行った上で、DX進展度1〜3の構成比を算出した。
34 デジタル・トランスフォーメーションに取り組んでいる日本企業の比率（比重調整後）を、DX進展度1〜3の構成比を変えずに、デジタル・トランスフォーメーションに取り組んでいる米国企業の比率（製造業：63.6％、非製造業：55.9％）に拡大した場合における売上高の押し上げ効果を試算した。
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