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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題

(8)デジタルデータの活用状況

ア パーソナルデータの活用

企業におけるデジタルデータの活用状況について、サービス等から得られる個人データ(パーソナルデータ)の活用を尋ねた結果が図表1-2-4-18である。各国とも2019年度に比べて2020年度においてデータの活用を伸ばす結果となっている。日本企業では、2020年度に著しく伸びている29ものの、「積極的に活用している」及び「ある程度活用している」を合計しても5割弱にとどまった。前年度に比べれば上昇したものの、依然として米国及びドイツとは差がある状況である。

図表1-2-4-18 企業におけるパーソナルデータの活用状況
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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他方、米国では、パーソナルデータを「積極的に活用している」との回答が2020年度に減少する結果となった。この間、巨大デジタル・プラットフォーマーがパーソナルデータを収集することへの懸念が米国内で高まっていることの影響も考えられる。

さらに、パーソナルデータの取扱いや利活用に関し、現在又は今後想定される課題や障壁について、当てはまるものを尋ねた(図表1-2-4-19)。いずれの国でも「個人データの管理に伴うインシデントリスクや社会的責任の大きさ」が最も高く、「個人データの収集・管理に係るコストの増大」がそれに次ぐ結果となった。他に特徴的な結果として、米国では「個人データの取扱いに係るレピュテーションリスク」を選択した回答者が他の2か国と比べても高く、日本では、「データを取り扱う(処理・分析等)人材の不足」を選択する回答者が多かった30

図表1-2-4-19 パーソナルデータの取扱いや利活用に関して現在又は今後想定される課題や障壁(複数選択)
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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イ 産業データ(パーソナルデータ以外のデータ)の活用

次に、製品の稼働状況、利用状況といった、製品やサービスから得られる個人データ以外のデータの活用状況を尋ねた結果、日本の企業では5割弱が「積極的に活用している」又は「ある程度活用している」と回答したのに対し、米国やドイツにおいては、7割前後の企業が「積極的に活用している」又は「ある程度活用している」と回答している(図表1-2-4-20)。パーソナルデータの結果と同様に、日本企業によるデータ活用の取組が増えているものの、海外企業との間には依然として開きがある。

図表1-2-4-20 パーソナルデータ以外のデータの活用状況
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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パーソナルデータ以外のデータの取扱いや利活用に関する課題や障壁については、データのフォーマット等のばらつきやデータ品質の確保といった「データの収集・管理に係るコストの増大」や「個人データとの線引きが不明瞭」、「データの所有権の帰属が自社ではない又は不明な場合があること」、「ビジネスにおける収集等データの利活用方法の欠如、費用対効果が不明瞭」といった回答が上位を占めた。なお、日本企業では、パーソナルデータへの回答と同様に、「データを取り扱う(処理・分析等)人材の不足」を挙げる回答者が他の2か国と比べて多い結果となった(図表1-2-4-21)。

図表1-2-4-21 パーソナルデータ以外のデータの取扱いや利活用に関して現在又は今後想定される課題や障壁(複数選択)
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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29 ただし、2019年度に「わからない」との回答が6割以上を占めており、実際には2019年度の時点でデータ活用を行っていた可能性は否めない。

30 令和2年版情報通信白書に掲載した前回調査と比較すると、日本やドイツにおいては、インシデントリスクや社会的責任の大きさを懸念する回答者の割合が最も高く、引き続き懸念が解消されていないことが分かる。また、「特に課題・障壁はない」との回答は3か国とも大幅に低下し、「定義が不明瞭」、「収集・管理に係るコストの増大」及び「レピュテーションリスク」は3か国とも増加している。なお、人材不足との回答は、今回調査において、日本では増加したのに対し米国・ドイツでは低下した。

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