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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第1節 国民生活におけるデジタル活用の現状と課題

(1)デジタル化が進んでいない理由

総務省が実施した調査(2021)において、デジタル化が進んでいない理由を尋ねたところ12、「情報セキュリティやプライバシー漏えいへの不安」が52.2%と最も多く、次いで、「利用する人のリテラシーが不足しているから」(44.2%)、「デジタルでの業務利活用が不十分」(36.7%)、「通信インフラが不十分」(35.5%)、「情報端末が十分に行きわたっていない」(34.0%)、「利用者がデジタルに対する抵抗感をもっている」(33.7%)の順となっており、デジタル化に対する不安感・抵抗感やリテラシーに関する回答が上位に位置する結果となっている(図表1-1-4-1)。

図表1-1-4-1 世の中でデジタル化が進んでいないと思う理由
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-4-1 世の中でデジタル化が進んでいないと思う理由」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

続いて、デジタル化が進まない理由について、年代、年収やICTリテラシーの観点から分析する。

まず年代から見ると、デジタル化が進まない理由として最も多く挙げられている情報セキュリティやプライバシー漏えいへの不安について、全体は52.2%であったが、20〜29歳は44.2%に留まる一方、50〜59歳は59.7%、60歳以上は60.5%であり、年齢が高いと特に情報セキュリティ等に対する不安が高いことがうかがえる(図表1-1-4-2)。

図表1-1-4-2 デジタル化が進まない理由(年代別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
「図表1-1-4-2 デジタル化が進まない理由(年代別)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

続いて、年収別に見る(図表1-1-4-3)。全体的に年収800万以上の場合、進まない理由に関する全ての選択肢において、全体平均よりも高いことから、年収が高いとデジタル化に関する課題をより多く認識していることがうかがえる。また、全体平均よりも10ポイント以上多いのは、直接会う方が良いと思う人がいるから(14.7ポイント)、デジタルによる生活が不便だから(12.7ポイント)、リテラシー不足(11.2ポイント)、デジタルに対する抵抗感(10.9ポイント)、デジタル化推進のための改革が挫折(10.1ポイント)であり、平均よりも大幅に高い選択肢が多い。

図表1-1-4-3 デジタル化が進まない理由(年収別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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一方で、年収が400万円未満の場合、全体平均よりも低い選択肢が多いことから、デジタル化に関する課題への認識が少ないと考えられる。

続いて、ICTリテラシー別に見る(図表1-1-4-4)。最も特徴的である点としては、ICTリテラシーが低い層では、「わからない」(34.9%)が最も多くなっている。また、それ以外の選択肢も、10ポイント以上全体よりも低いものとしては、情報セキュリティ等への不安(18.5ポイント)、デジタルへの抵抗感(15.1ポイント)、情報通信端末が十分にない(15.4ポイント)、通信インフラが不十分(11.1ポイント)、業務利活用が不十分(11.1ポイント)、デジタル化推進のための改革が挫折(10.1ポイント)と多くの項目で全体よりも低い。このことから、ICTリテラシーが低いと、何が課題であるかが十分に把握できていないということがうかがえる。

図表1-1-4-4 デジタル化が進まない理由(ICTリテラシー別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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このようにデジタル活用に関する課題は多くあり、また、年代、年収やICTリテラシーによって状況は異なるが、利用が進んでいるインターネットショッピングや支払い・決済などの生活に密着したサービスにおいても、氏名・住所等の個人情報や購買履歴等のプライバシーに関わる情報が必要となる。インターネットを利用したサービスの更なる普及のためには、「情報セキュリティやプライバシー漏えいへの不安」という課題を解決することが重要であるが、そのためには、まずは具体的にどのような点を不安に思っているかを分析する必要がある。ここでは、過去の情報通信白書でも取り上げてきた、パーソナルデータの活用という観点から、消費者(利用者)の意識や課題・障壁を分析する。

また、「利用する人のリテラシーの不足」も課題の一つであるが、図表1-1-1-8のとおり、年齢が高くなるほど情報リテラシー(ICTリテラシー)が低い傾向にある。デジタルサービスの利用状況も、高齢者ほど低いものが多い。そのため、高齢者のデジタル活用の現状を分析するとともに、いかに高齢者のデジタル活用を支援するかを整理する。



12 我が国のデジタル化が「進んでいない」または「どちらかといえば進んでいない」と回答した者に対する質問。

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