総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > 電気通信事業分野における公正な競争環境の整備
第2部 基本データと政策動向
第2節 電気通信事業政策の展開

第2節 電気通信事業政策の展開

1 公正競争の促進

(1)電気通信事業分野における公正な競争環境の整備

昨今、急速なICTの進展や新たなビジネスモデルの登場などに伴い電気通信市場の構造は激しく変化している。こうした中、事後規制を基本とする電気通信事業法の枠組みにおいて電気通信事業分野における公正競争を促進し、利用者利便を確保するためには、市場動向を的確に把握し、適切に分析・検証を行い、政策展開に反映することが重要となっている。

総務省は、2016年度(平成28年度)から、従前の「電気通信事業分野における競争状況の評価」及び「ブロードバンド普及促進のための公正競争レビュー制度」を充実・発展させ、市場動向の分析・検証及び電気通信事業者の業務の適正性等の確認を一体的に行う市場検証の取組を実施している。2019年度(令和元年度)には、市場検証の取組を引き続き実施するに当たり、最近の電気通信事業分野を取り巻く環境変化等を踏まえた当面の重点事項等についての基本的な考え方を示す「電気通信事業分野における市場検証に関する基本方針(令和元年度版)」(2019年(令和元年)8月)を定めるとともに、本基本方針に基づき、各年度における市場検証に関する重点事項及び分析・検証の実施方針等を示す年次計画を策定している。また、効率的かつ実効性の高い分析・検証を行い、客観的かつ専門的な見地から助言を得ることを目的として、学識経験者等で構成する電気通信市場検証会議を開催している。

2019年度(令和元年度)においては、「電気通信事業分野における市場検証に関する年次計画(令和元年度)」(2019年(令和元年)12月)に基づき、①電気通信事業分野における市場動向の分析、②電気通信事業者の業務の適正性等の確認、③「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」を踏まえたモニタリングを行い、それらの結果を踏まえ、「電気通信事業分野における市場検証(令和元年度)年次レポート」を公表した。

また、事業者間の活発な競争を通じて低廉で多様なサービスの実現を図るべく、モバイル市場における公正な競争環境を整備するための取組を進めてきており、2019年(令和元年)5月には、電気通信事業法の一部を改正し、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みの禁止等を内容とする制度整備を行った。

この改正により講じた措置の効果やモバイル市場に与えた影響等について検証を行うため、「電気通信市場検証会議」の下に「競争ルールの検証に関するWG」を開催し、2020年(令和2年)10月に「競争ルールの検証に関する報告書2020」が取りまとめられた。この他「接続料の算定等に関する研究会」において、2020年(令和2年)9月に「第四次報告書」が取りまとめられ、モバイル接続料の適正性の向上等に関する提言が行われている。これらの報告書等を踏まえ、モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けて、総務省として今後取り組むべき事項について具体化を図る観点から、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を取りまとめた(図表5-2-1-1)。

図表5-2-1-1 モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン

さらに、2020年(令和2年)12月より、「電気通信市場検証会議」の下、移動系通信分野における競争の進展、固定系通信市場と移動系通信市場との間の関係の変化、グローバル競争の激化その他の市場環境の変化等を踏まえ、電気通信市場における公正競争の確保等の観点から検討を行うことを目的とした「公正競争確保の在り方に関する検討会議」を開催している。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る