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第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題

3 デジタル・トランスフォーメーションの実践に向けて

(1)デジタル・トランスフォーメーションの取組内容と効果

デジタル・トランスフォーメーションと一口に言っても、デジタル技術の活用により企業全体の変革を行うことで企業価値の向上につなげる点では共通するが、向上すべき企業価値とは企業及びその置かれる状況で異なるものであり、価値向上のためにデジタル・トランスフォーメーションの実施で得るべき効果や取組の内容もまた状況によって異なる。実際にデジタル・トランスフォーメーションを行う際は、やみくもに実施するのではなく、企業自身が直面する課題を明確にするとともに、課題解決のために取り得る最適な取組を考慮した上で着手することが重要である。

ここでは、文献調査や企業ヒアリングに基づき、デジタル・トランスフォーメーションを実施している企業における取組の内容や、その実施で期待している効果についてまとめた。

ア デジタル・トランスフォーメーションの取組内容

「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」における定義や既存の文献等を踏まえると、デジタル・トランスフォーメーションの具体的な取組は、次の3点に大別できる。

(ア)組織に関する取組

社内における推進体制の構築、推進のための新組織(新会社等)の設立、社内における意識改革、他の企業等外部との連携、予算の確保、ビジョンの策定といったものが挙げられる。

(イ)人材に関する取組

デジタル人材の確保(新規又は中途採用)、社内外における研修の充実、専門資格取得の奨励・補助などが挙げられる。

(ウ)ICTに関する取組

AI・IoT・クラウド・RPAといったデジタル技術の活用、働き方改革に関連したICTツールの利用、デジタルデータの活用、ベンダー依存からの脱却、レガシーシステムの刷新などが挙げられる。

イ デジタル・トランスフォーメーションで期待する効果

デジタル・トランスフォーメーションの実施によって企業が期待する効果についても整理すると、次の3点に大別できる。

(ア)社内における効果

社内業務の効率化やコストの削減、企業文化や働き方の変革といったものが挙げられる。

(イ)自社の製品・サービスにおける効果

既存の製品・サービスの高付加価値化やその販路の拡大、新しい製品・サービスの創出、新規事業の創出といった効果が挙げられる。

(ウ)社外・対顧客における効果

他社等との関係の強化(業務提携等)や顧客満足度の向上などが挙げられる。

これらの取組内容及び効果に着目して、情報収集したデジタル・トランスフォーメーションの取組事例を整理すると図表1-2-3-1のようになる。

図表1-2-3-1 デジタル・トランスフォーメーションの取組事例
(出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
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