総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > 我が国ICT産業の世界的な位置付けの推移
第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
1 デジタル経済の進展に伴う我が国経済への影響

(2)我が国ICT産業の世界的な位置付けの推移

それでは、主なICT産業分野における我が国の世界的な位置付けは、どのように推移しているのだろうか。サービス、端末及び半導体(部品)の3分野を分析対象とし、それぞれの分野のサービス・製品を取り上げて、世界市場規模と当該市場における日本企業のシェアの経年推移を定量的に分析する。

ア サービス分野

サービス分野では、「定額制動画配信」、「クラウドインフラ(IaaS)」、「クラウドプラットフォーム(PaaS)」及び「クラウドサービス(SaaS)」を取り上げる。これらは2010年以降急成長している市場セグメントである。

当該分野における日本企業の世界市場シェア(金額ベース)は、2010年以降10%以下の一桁台ではあるものの、減少傾向で推移しており、直近では2%程度の低水準となっている(図表0-2-1-1)。

図表0-2-1-1 サービス分野における各市場の規模(世界)と我が国のシェアの推移
(出典)総務省(2021)「ポストコロナの経済再生に向けたデジタル活用に関する調査研究」(Omdia提供データを基に三菱総合研究所作成)
イ 端末分野

続いて、端末分野では、「テレビ」、「ノートPC」及び「スマートフォン」を取り上げる。2010年以降、それぞれ衰退期、成長期、萌芽期に相当する市場セグメントである。

当該分野における日本企業の世界市場シェア(台数ベース)は、2010年時点でテレビ35%、ノートPC24%、スマートフォン10%と高い比率であったが、2020年時点でテレビ11%、ノートPC4%、スマートフォン2%と、これらの分野では急速に減少している(図表0-2-1-2)。

図表0-2-1-2 端末分野における各市場の出荷台数(世界)と我が国のシェアの推移
(出典)総務省(2021)「ポストコロナの経済再生に向けたデジタル活用に関する調査研究」(Omdia提供データを基に三菱総合研究所作成)
ウ 半導体(部品)

最後に、ICT製品製造に必要な部品の代表例として、「産業のコメ」とも呼ばれ、様々な産業で利用される半導体を取り上げる。我が国半導体産業の世界におけるシェアは、1988年は50.3%であったが、1990年代以降、徐々にその地位を低下させ、2019年には10.0%にとどまっている(図表0-2-1-3)。

図表0-2-1-3 日本の半導体産業の現状
(出典)経済産業省(2021.3.24)「第1回半導体・デジタル産業戦略検討会議」

ここでは、半導体の中でも、「MEMSセンサ」、「画像センサ」、「MCU」及び「ディスクリート半導体」を取り上げる。これらはICT産業全体とともに成長している市場セグメントである。

当該分野における日本企業の世界市場シェア(金額ベース)は、2001年〜2020年にかけて減少傾向で推移しているものの、サービス分野や端末分野に比べると、日本企業の世界市場シェアは最も低いMEMSセンサでも10%以上となっており、比較的高い水準を維持している。特に画像センサでは50%と高いシェアを維持している(図表0-2-1-4)。

図表0-2-1-4 半導体における各市場の規模(世界)と我が国のシェアの推移
(出典)総務省(2021)「ポストコロナの経済再生に向けたデジタル活用に関する調査研究」(Omdia提供データを基に三菱総合研究所作成)

このように、半導体産業全体では我が国の地位は低下しているものの、一部の分野では日本企業が強さを示している。

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