総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > 個人向けアンケートで見るテレワークの実情
第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
第3節 コロナ禍における企業活動の変化

(2)個人向けアンケートで見るテレワークの実情

緊急事態宣言下におけるテレワークの実施状況について述べたが、テレワークを実際に行った人は、どのように取り組み、何を感じたのか、本白書のために行った独自アンケートの結果を基に見ていくこととしたい6

ア テレワーク実施経験の有無

まず、過去一年間においてインターネットを使用したテレワークを実施した経験があるかについて尋ねた(図表2-3-4-5)。

図表2-3-4-5 テレワークの実施経験
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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テレワークをしたことがある回答者は38%7であるが、その実施形態について、在宅は34.8%、サテライトオフィスは4.1%、外出先(モバイルワーク)は4.8%となっており、在宅でテレワークをしている人がほとんどとなっている。

続いて、テレワークの実施経験について、企業規模別に見る(図表2-3-4-6)。

図表2-3-4-6 テレワークの実施経験(企業規模別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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テレワークをしたことがあるのは、大企業は51.0%8、中小企業は27.5%9であり、大企業の方がテレワークを実施した経験のあるという人が多い。

実施形態に関しては、大企業及び中小企業のいずれについても在宅が多い。

また、外出先でテレワークをしたことがある人は、大企業で5.1%、中小企業で4.5%と、全体のテレワーク実施率からすると、差が小さい。

また、2回目の緊急事態宣言の対象となった都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、愛知県、岐阜県、福岡県、栃木県。以下「対象都府県」という。)と対象外であった道県(以下「対象外道県」という。)でテレワークをしたことがある回答者を比較した(図表2-3-4-7)。

図表2-3-4-7 テレワークの実施経験(2回目の緊急事態宣言の対象都府県及び対象外道県)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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対象都府県は46.5%、対象外道県は22.7%となり、緊急事態宣言の対象となった都府県の方が23.8ポイントも高くなっている10。このように複数回緊急事態宣言の対象となることでテレワークの実施経験が増えている。

さらに、年代別で回答を比較した(図表2-3-4-8)ところ、テレワークをしたことがある回答者が全体よりも5ポイント以上高くなったのは、「20-29歳」(44.4%)であった。逆に全体よりも5ポイント以上低くなったのは、「60歳以上」(23.4%)であった11。このように年代が低い方がテレワークの実施経験率が高い傾向にある。

図表2-3-4-8 テレワークの実施経験(年代別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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イ テレワークの実施頻度

テレワーク実施者に対して、緊急事態宣言中のテレワーク実施頻度を尋ねた(図表2-3-4-9)。

図表2-3-4-9 テレワークの実施頻度
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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1回目の緊急事態宣言では、週5〜6日が32.9%、週3〜4日が21.3%、週2日程度が17.1%で、一週間のほとんどでテレワークを実施する人が多かった。

2回目の緊急事態宣言では、週3〜4日が24.5%と最も多く、続いて週5〜6日が21.0%、週2日程度が17.1%の順であった。

1日目から2回目の緊急事態宣言で、テレワークの実施日数が短くなっている。

続いて、テレワークの実施頻度について、企業規模別に見る(図表2-3-4-10)。

図表2-3-4-10 テレワークの実施頻度(企業規模別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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1回目の緊急事態宣言では、大企業・中小企業ともに週5〜6日がもっとも多く、2回目の緊急事態宣言では、週3〜4日が最も多くなるという傾向は変わらなかった。

大企業・中小企業の違いとしては、週5〜6日程度テレワークを実施している割合は、大企業(1回目:31.6%、2回目:19.9%)よりも中小企業(1回目:34.8%、2回目:22.6%)の方が多い点がある。

また、大企業は、1回目から2回目にかけて、週2日程度(5.9%ポイント増)と週3〜4日程度(1.1%ポイント増)が増えたが、中小企業は月に数回程度(7.8%ポイント増)、週3〜4日程度(6.1%ポイント増)となった。

また、テレワーク実施者に対して、緊急事態宣言中に勤務先でどの程度の割合でテレワークが実施されていたか、勤務先のテレワークの実施率を尋ねた(図表2-3-4-11)。

図表2-3-4-11 勤務先のテレワーク実施率
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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1回目、2回目ともに7〜10割未満が最も多いが、1回目(24.5%)よりも2回目(21.3%)の方が若干減少している。

2番目に多いのは、1回目は10割(20.3%)であったが、2回目は5〜7割(19.2%)であった。

このように、2回目の緊急事態宣言では、実施率が減少している。

続いて、勤務先のテレワークの実施率について、企業規模別に見る(図表2-3-4-12)。

図表2-3-4-12 勤務先のテレワーク実施率(企業規模別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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大企業については、1回目は7〜10割が最も多く(27.5%)、2回目は5〜7割が最も多かった(24.0%)。

中小企業については、1回目は10割が最も多く(26.1%)、2回目は7〜10割が最も多かった(20.0%)。

このように、2回目の実施率が減少しているという点は、全体の傾向と同じであるが、10割(ほぼ全員)が実施している割合は中小企業の方が多い。

一方で、テレワーク実施率が0割(ほとんどない)については、大企業は少ないが(1回目:1.8%、2回目:5.8%)、中小企業は一定数存在する(1回目:11.3%、2回目:18.3%)。

このように、中小企業の中では、テレワークを全面的に実施している企業とほとんど実施していない企業の二極化が生じていると考えられる。

ウ テレワークの継続意向

テレワーク実施者に対して、今後もテレワークを継続したいか、尋ねた(図表2-3-4-13)。

図表2-3-4-13 テレワークの継続意向
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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今後もテレワークを継続したい(「継続したい」及び「どちらかといえば継続したい」)については、全体(66.4%)、企業別(大企業:68.4%、中小企業:63.5%)でみても、いずれも過半数を占める結果となっている。

大企業・中小企業の違いとしては、継続したいについては、大企業(42.7%)よりも中小企業(45.2%)が多く、継続したくないについては、大企業(4.1%)よりも中小企業(9.6%)の方が多い点がある。

また、対象都府県と対象外道県で回答を比較した(図表2-3-4-14)。

図表2-3-4-14 テレワークの継続意向(2回目の緊急事態宣言の対象都府県及び対象外道県)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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対象都府県では、継続したい(「継続したい」又は「どちらかといえば継続したい」)が69.3%となっているが、対象外府県では55.7%にとどまり、対象都府県が13.6ポイント高い。

このように、複数回緊急事態宣言の対象となると、継続意向が高まっている。

さらに、年代別で回答を比較した(図表2-3-4-15)。

図表2-3-4-15 テレワークの継続意向(年代別)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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継続したい(「継続したい」又は「どちらかといえば継続したい」)について、全体よりも5ポイント以上高くなったのは、「20-29歳」(76.4%)、「30-39歳」(71.6%)であった。逆に全体よりも5ポイント以上低くなったのは、「40-49歳」(57.6%)、「60歳以上」(50.0%)であった。

このように比較的若い年代の方がテレワークの継続意向が高いことが特徴である。

エ テレワークの利点

テレワーク実施者に対して、テレワークの利点について、尋ねた(図表2-3-4-16)。

図表2-3-4-16 テレワークの利点
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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利点として挙げられたのは、通勤時間が削減される(81.5%)、好きな場所で作業をすることができる(53.8%)自分や家族のための時間をとりやすくなった(45.1%)の順に多い。効率性(作業に集中できる)よりも、時間に余裕ができる点を利点として感じている割合が多い。

オ テレワークで容易に実施可能なこと

テレワーク実施者に対して、テレワーク時に容易に実施可能なことについて、尋ねた(図表2-3-4-17)。

図表2-3-4-17 テレワークで容易に実施可能なこと
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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容易に行える(「容易に行える」及び「どちらかといえば容易に行える」)として挙げられたものとしては、作業に必要な通信や機器環境をそろえること(54.2%)、十分な作業スペースを確保すること(51.4%)、作業やプロジェクトを期限どおりに完成させること(50.7%)の順に多く、テレワークを実施する環境や作業効率の確保については容易に実施できていることが多い。

一方で、容易に行えない(「容易に行えない」及び「どちらかといえば容易に行えない」)として挙げられたものとしては、上司や部下、同僚と気軽に相談や会話する(32.9%)、上司や部下、同僚と共同で作業を行う(32.2%)、作業・仕事を行うための意欲の維持(23.1%)の順に多く、コミュニケーションやモチベーションの維持について困難を抱えていることが多い。

カ テレワーク実施にあたっての課題・障壁

テレワーク実施者及びテレワークを実施していない人に対して、テレワーク実施にあたっての課題や障壁について、尋ねた(図表2-3-4-1812

図表2-3-4-18 テレワーク実施の課題・障壁(上位)
(出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」
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課題・障壁として挙げられたのは、テレワークに適した仕事ではないため(36.3%)、勤務先にテレワークできる制度がないため(27.9%)、会社に行かないと利用できない資料(22.8%)、会社でしかできない手続き(19.4%)、社員同士のコミュニケーション(17.8%)、上司からの確認・指示を得にくい(10.8%)の順に多かった。

最も多く挙げられているのは、テレワーク実施に当たっての個別具体的な課題・障壁ではなく、そもそも仕事の内容・会社の制度によりテレワークが実施できないという点である。この課題を解決するには、そもそもの仕事のやり方を変える、会社がテレワークの意義を認め、積極的に制度作りを行うなどの抜本的な対応が必要と考えられる。

その次に多く挙げられているのは、会社でしか利用できない資料や手続きがある点であるが、会社のデジタル・トランスフォーメーションが進むことで解決できる可能性がある。

また、同僚や上司とのコミュニケーションも課題として挙げられているが、様々なコミュケーションツールを積極的に活用する、全てテレワークとするのではなく、一定の出社日を設けるなどの工夫により、解決できる可能性がある。



6 パーソル総合研究所が実施した調査は正社員に関して特定の時点を対象としており、総務省が実施した本調査は対象を限定しておらず、また、過去1年間の実施経験を聞いており、対象が異なる。そのため、比較する際は注意が必要である。

7 テレワークをしたことがないという回答が62.0%であり、その結果から逆算すると、テレワークをしたことがあるのは38%となる。

8 テレワークをしたことがないという回答が49.0%であり、その結果から逆算すると、テレワークをしたことがあるのは51.0%となる。

9 テレワークをしたことがないという回答が72.5%であり、その結果から逆算すると、テレワークをしたことがあるのは27.5%となる。

10 テレワークをしたことがないという回答が対象都府県では53.5%、対象外道県では77.3%であり、その結果から逆算すると、テレワークをしたことがあるのはそれぞれ46.5%、22.7%となる。

11 テレワークをしたことがないという回答が20〜29歳では55.6%、30〜39歳では58.2%、40〜49歳では63.1%、50〜59歳では63.1%、60歳以上では76.6%であり、その結果から逆算すると、テレワークをしたことがあるのはそれぞれ44.4%、41.8%、36.9%、36.9%、23.4%となる。

12 調査における回答の選択肢は、他にも多くあるが、ここでは課題・障壁として挙げられた割合が10%以上のもののみグラフにしている。

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