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第1章 平成5年情報通信の現況(3) 郵便サービスア 郵便物数の動向5年度の内国郵便物数は、対前年度比 0.4%増の 244億通(個)であった(第1-1-27図参照)。 内国郵便物数の98%を占める通常郵便物は、対前年度比 0.5%増の 239億通となったが、経済が引き続き低迷するなか、対前年度伸び率は4年度の 1.9%を下回る低い伸びにとどまった。 通常郵便物のうち、普通郵便物数は対前年度比 0.5%増の 195億通であったが、郵便料金改定後の6年2月、同3月の普通郵便物数は、それぞれ対前年同月比 8.6%減、 7.3%減となった。 また、通常郵便物のうち、年賀郵便物数は対前年度比 0.3%減の37億通であり、昭和63年度以来5年ぶりに前年度を下回る結果となった。 さらに、小包郵便物数は対前年度比 6.0%減の4億 100万個であり、昭和58年度以来10年ぶりに前年度を下回る結果となった。 イ 郵便サービスの改善 郵政省が5年度に実施した郵便サ-ビスの改善のうち、主なものは以下のとおりで、6年1月から実施された(第1-1-28表参照)。 (ア) 書留の損害要償額の限度額の引上。 現金以外の物を内容とする書留郵便物のうち、損害要償額の申出のないものの損害要償額の限度額を1万円から10万円に引上げた。 (イ) 配達日指定郵便制度の改善 利用者が指定した日に郵便物を届ける配達日指定郵便のうち、通常郵便物については、これまで日曜日及び祝日の配達日の指定はできなかったが、今回のサ-ビス改善で、 200円の料金で年末年始を除く日曜日及び休日に配達日の指定ができることとした。 (ウ) 配達日の3日前までに差し出される電子郵便の料金の設定 利用者が指定する配達日の3日前までに差し出された電子郵便について、その他の電子郵便より低い料金を設定した。この結果、1枚目の料金については、3日前までに差し出された電子郵便が 470円であるのに対し、その他の電子郵便は 580円となった(従来はともに 510円)。 (エ) 身体障害者用書籍小包郵便物制度の改善 身体障害者用書籍小包郵便物の名称を心身障害者用書籍小包郵便物とし、図書館と精神薄弱の程度が重い者との間で、郵便による閲覧のために発受するものについても、この郵便物の取扱いをすることとした。 (オ) 第一種郵便物及び第二種郵便物の割引制度の改善 第一種郵便物及び第二種郵便物について、利用者が区分等をして差し出した場合に郵便料金を割引く「利用者区分割引」、広告郵便物について、利用者が区分等をして差し出した場合に郵便料金を割引く「広告郵便物割引」の差出通数の制限を 3,000通以上から 2,000通以上とし、割引制度の適用範囲を拡大した。 (カ) 料金受取人払制度の改善 料金受取人払郵便物に係る料金を後納しようとする場合は、従来、その承認の対象となった全部が、郵便物として差し出されるものとしたときの料金と手数料の額を担保として提供することとしていたが、差出有効期間が2か月に満たないものを除き、この担保の額を1か月間に支払う料金受取人払郵便物の料金と手数料の額の2倍以上とし、担保提供の負担を軽減した。なお、1か月間に支払う料金受取人払郵便物の料金と手数料の額は、これまで必要とされていた担保の額を差出有効期間の月数で除して算出する。 また、これまで一律であった料金受取人払の手数料に[1]郵便私書箱配達で料金後納とするもの、[2]郵便私書箱配達又は料金後納とするもの、[3]その他のものの区分を設け、それぞれ異なる手数料を適用するように改善した。 (キ) 料金後納制度の改善 料金後納郵便物に係る料金を後納するには、利用者は1か月に差し出す郵便物の料金及び特殊取扱の料金の概算額の2倍以上の額に相当する担保を提供する必要がある。従来、3年以上継続して後納料金を遅滞なく納付した場合、担保の額を2分の1に軽減することができることとしていたが、この期間を1年以上に短縮した。 ウ 郵便施設の状況 5年度末の郵便局数は、対前年度末比 0.5%増の2万 4,419局であり、郵便ポストの設置数は、4年度末現在16万 3,067本(対前年度末比0.9 %増)となっている(第1-1-29図参照)。 郵便局数の内訳をみると、普通局が 1,328局(対前年度末比13局増、うち新設2局、集配特定局からの局種別変更11局)、特定局が1万 8,475(同84局増)、簡易郵便局が 4,616局(同19局増)である。 また、大都市における郵政窓口サービスに対する需要に応えるため、窓口事務量の著しく多い東京都区・横浜市・名古屋市・大阪市の中心部に、百貨店・旅行代理店等に委託して設置している大都市型簡易郵便局(シティ・ポスト)は19局となっている。 エ 郵便料金の改定 郵便料金は、昭和56年の改定以降、実質13年間据え置かれてきた。この間2年度までの10年間は、年平均4%の経済成長のもとで順調な郵便業務収入の増加があり、一方で郵便事業の機械化・効率化の推進により、費用の増加を抑制してきたことなどから、実質的な郵便料金の改定を行うことなく、郵便事業財政は堅調に推移してきた。 しかし、昨今の郵便業務収入の伸び悩みから、費用の増加を収入の増加で賄うことができなくなり、郵便事業財政は3年度・4年度と連続で単年度赤字を計上し、5年度も大幅な赤字が見込まれている。そこで、5年9月、郵政審議会に「郵便事業財政を改善する方策について」諮問し、郵便料金については初めての公聴会の開催等、慎重な審議の結果、5年11月に料金改定はやむを得ないとの答申を得て、通常郵便物の料金等を6年1月から改定した。この結果、例えば25グラムまでの定型郵便物及び通常葉書の料金は、それぞれ62円から80円、41円から50円となった。
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