平成6年版 通信白書

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第3章 マルチメディアが拓く情報通信の新たな世界

(1) ソフトの充実と円滑利用のために

 ア マルチメディア・ソフトに関する知的所有権
 マルチメディア化の進展のためには、そのソフトの充実が不可欠であるが、その制作にあたっては、音楽、映画等、極めて多様かつ多数の既存著作物の利用を必要とすることが多い。このため、マルチメディア・ソフトの充実のためには、著作権をはじめとする知的所有権に関する円滑かつ適切な権利処理体制の整備が必要となる。
 この点については、文化庁の著作権審議会の「マルチメディア小委員会」において検討が重ねられており、5年11月には、マルチメディア・ソフトの素材として利用される著作物の権利処理の在り方等について、第一次報告書が発表されたところである。
 郵政省においても、4年8月から5年5月まで、「メディア・ソフト研究会」を開催し、同研究会の報告書において、映像ソフトの二次利用をはじめ、メディア・ソフトの制作・提供とソフト資産の有効利用を図るために、関係事業者・団体・省庁の協調のもとで、著作権を中心とする知的財産権の権利処理ルールの確立、権利データベースの構築等による的確な権利情報の提供、包括的な権利処理体制の整備等を進めることを提言している。
 また、5年1月から郵政省において開催されている「映像ソフトの知的財産権に関する協議会」でも、映像ソフトの円滑な制作・流通を促進するため、放送ソフト及びマルチメディア・ソフトに関する知的財産権について検討が行われるなど、この問題についての積極的な検討が進められている。
 イ 「放送番組素材利用促進事業」の推進
 マルチメディア化の進展のためには、ソフトの充実が不可欠であることは前述のとおりであり、このため、ソフトの制作能力の向上を図ることが必要である。郵政省では、6年度から、[1]放送番組素材を収集・制作・保管し放送番組の制作の用に供する業務、[2]放送番組素材の取引のあっせん・情報の提供を行う業務を行う「放送番組素材利用促進事業」を推進することとしている。具体的には、本事業を行う者に対し、産業投資特別会計からの出資を原資とする通信・放送機構からの出資、財政投融資による低利融資、無利子融資による支援を行うこととし、関連の法律を整備することとしている。
 

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