平成6年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第2章 情報通信政策の動向

(4)周波数資源の開発

 ア 未利用周波数帯の開発
 現在使用されていない周波数の高い電波、例えばミリ波(30GHz 〜300 GHz )はこれまで使用されている周波数の約10倍と広い帯域を有している。このため、ミリ波の特質を生かして、オフィス等の構内をはじめとして、自由に端末を移動して、高速データ通信・画像通信を行うことを可能にするミリ波構内通信技術等の研究開発が行われている。5年度は、郵政省において開催された「電波資源開発利用に関する調査研究会」において、ミリ波を利用したB-ISDNサービス・高速無線LAN・画像伝送につき中長期的なモデルシステムの策定を行ったところである。
 また、サブミリ波( 300GHz 〜 3,000GHz)についても、サブミリ波を実用可能にするために、高機能デバイス技術の研究開発を郵政省通信総合研究所において行っている。
 イ 既利用周波数帯の再開発
 近年の移動通信需要の伸びは著しく、現在割り当てられている周波数だけでは対応できないことが予想されている。
 これまで徐々に高い周波数を実用化して準マイクロ波帯(1GHz 〜3GHz)まではほぼ開発が終了している段階にあるが、今後は、地上固定通信・衛星通信等に現在使用されているマイクロ波帯(3GHz 〜10GHz)を移動通信に利用するための研究開発を行っていく必要がある。このため、郵政省では5年度は「電波資源開発利用に関する調査研究会」において、要素技術の現状と動向についての調査を行うとともに、移動通信へのマイクロ波帯利用の可能性等に関する展望及び実現可能時期、開発方策等の検討を行った。また、郵政省通信総合研究所では、5年から7か年計画でマイクロ波帯移動通信システムを実現するための研究開発が行われている。
 ウ 周波数有効利用技術の開発
 主に移動通信需要の増大に対処するため、電波の伝搬状況や利用状況等の環境に応じて、無線局が使用する周波数・電力・周波数帯域幅等を時間的に動的(ダイナミック)に変化させ、周波数の高度利用を図るインテリジェント電波利用技術の研究開発が重要になってきている。このため、郵政省では、5年度には「インテリジェント電波利用に関する調査研究会」において、基地局間で周波数を融通しあうダイナミックチャネル割当技術等を実際に適用する場合の望ましい条件や課題について検討するとともに、郵政省通信総合研究所において研究開発を進めているところである。
 このほか、5年度から「電波資源開発利用に関する調査研究会」において固定無線通信の需要に対処するために、同一回線の上りと下りに同一の周波数を利用することにより、周波数利用効率を従来の2倍とする単一周波数中継技術について検討を始めた。また、郵政省通信総合研究所において、放送局の多局化、難視聴解消、コミュニティ放送の普及等の需要に対応するために、電波の干渉妨害を逓減し、隣接する区域において同一周波数を使用可能とするFM同期放送技術等の研究開発を開始している。

第2-2-3図 ミリ波構内通信の利用イメージ図

 

(3)電波利用促進のための規制緩和 に戻る (5)移動通信の普及促進 に進む