平成6年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(2)新世代通信網の整備

 国民生活や国民経済に果たす情報通信の役割は増大しており、情報伝送に対するニーズもより高度化・多様化している状況にある。しかし、電話網を基本とした既存の通信網では、伝送速度等通信能力の限界からユーザーのより高度化したニーズに対応できない状況となっており、既存の電話網に代わる高速・大容量でかつ高機能な新しい通信網(新世代通信網)に対する必要性が高まっている。そこで、郵政省ではこれを推進するため、次の施策を講じている。
 ア 電気通信基盤充実臨時措置法による高度通信施設整備事業の推進
 3年から「電気通信基盤充実臨時措置法」により、光ファイバーや同期デジタル伝送装置等の電気通信の利便性を飛躍的に高める高度通信基盤である新世代通信網の整備を図る高度通信施設整備事業が推進されている。5年12月現在、13社の事業が高度通信施設整備事業として認定され、税制優遇措置としての特別償却、固定資産税の特例措置、日本開発銀行等からの低利融資等の支援措置が実施されている。
 イ 新世代通信網の実用実験の推進
 広帯域ISDNを中心とする新世代通信網の普及促進を図るためには、実用実験を通じ、実際に通信網を利用する観点からアプリケーションを考えることが重要である。このため、6年度から2年間の予定で関西文化学術研究都市を中心とする京都・大阪・奈良地域において、新世代通信網の第1期の実用実験が実施されることとなっている。
 この実験では、広帯域通信網研究開発施設を実験地域に整備し、新世代通信網実験協議会が推進母体となり、14テーマに関する実験が予定されている。実験の主な内容としては、[1]名所・旧跡、水族館等に設置した高精細カメラからのリアルタイムの映像を3面マルチ画面に伝送する環境映像の研究、[2]図書、資料をデータベース化し、遠隔検索等を行う電子図書館の研究、[3]商品を電子カタログ化してリアルタイムでのフリーアクセスが可能な通信販売の研究、[4]マルチメディア端末を用いて多地点で会議や企画研究の共同作業を行うマルチメディア在席多元会議の研究、[5]ATM交換機を介して高速LANの相互接続及び超高速伝送の実験を行う高速LANの研究等がある。

地下での光ファイバーケーブルの接続工事

光ファイバケーブル(光ファイバ心線数1,000心)

 

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