平成6年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(2) GATTの動向

 1993年12月のGATT貿易交渉委員会において、ウルグァイ・ラウンド最終文書案が採択され、1986年以来7年越しで世界貿易の自由化について交渉してきたGATTウルグァイ・ラウンドは、実質的合意に達した。
 これにより、今後、世界貿易を包括的に扱う唯一の国際機関である世界貿易機関(WTO)が設立されることとなる。
 ウルグァイ・ラウンドでは、世界貿易におけるサービス部門の重要性の増大を反映し、サービス貿易の自由化のための交渉も行われてきた。
 この交渉の結果、サービス貿易に関する一般協定(GATS)案が作成され、最終包括合意案の一部として採択されている。GATSは、[1]サービス貿易の一般的ルールを規定する枠組協定、[2]各サービス分野ごとの特殊性を考慮して枠組協定を補足する分野別附属書及び[3]各国別の自由化約束の内容を記載している国別約束表の3つの部分から構成されている。
 通信分野に関する電気通信附属書の作成には、我が国も積極的に参加した。同附属書では、電気通信の経済活動とりわけサービス提供における基本的インフラとしての性格を考慮し、合理的条件による公衆電気通信サービスの利用の確保や利用条件等の情報の透明性等、公衆電気通信へのアクセスと利用に関するルールを規定している。
 また、ウルグァイ・ラウンドでは、各国の具体的自由化約束の内容を決定するための二国間交渉も行われてきた。
 この交渉の結果を踏まえ、通信分野では、米国、EC等の主要先進国がVANサービスの自由化を約束したのに伴い、我が国は、既に 100%の外資参入を認めている第二種電気通信事業者の提供するVANサービス等の自由化を約束している。
 一方、音声電話サービスなどの基本電気通信サービスについては、ウルグァイ・ラウンド終了後も自由化交渉を継続することが決定しており、1996年4月までに結論を出すこととなっている。
 放送分野では、ECが音響・映像分野を文化的観点から協定上の例外扱いにすることを主張したこと、放送の社会的影響が大きいことなどの理由により、我が国を含む大部分の加盟国は、現時点でこの分野についての自由化約束を行うには至っていない。
 通信・放送分野は、社会経済に与える影響が大きく、また今後更なる発展が期待されるサービス分野であり、将来のグローバル化、自由化に向けての条件整備が注目されている。
 

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