平成6年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(4) ITUの動向

 国際電気通信連合(ITU)では、1992年12月スイスのジュネーヴで開催された追加全権委員会議において、情報通信分野を取り巻く環境の急激な変化に的確に対応していくため、電気通信標準化部門・無線通信部門・電気通信開発部門の三部門制の導入を柱とした大幅な組織改革を盛り込んだ新憲章・条約を採択した。新憲章・条約の発効は1994年7月1日であり、ITU事務総局はこれができる限り多くの国の間で発効するよう、早期締結を各国に呼びかけている。このような状況の中、我が国も新憲章・条約の締結のための手続を進めている。
 また、新組織に移行後初めての全権委員会議が、1994年9月19日から10月14日まで京都で開催される予定である。全権委員会議は全ての加盟国が集まるITUの最高意思決定機関であり、またアジア・太平洋地域で開催されるのは、ITU創立以来初めてのこととなる。
 郵政省では、関係行政機関と共に、関係諸機関及び諸団体の協力を得つつ、本会議の成功に向けて準備を進めている。
 ITUの各部門における活動は、次のとおりである。
 ア 電気通信標準化部門
 ITUの電気通信標準化部門(ITU-T)は、従来の国際電信電話諮問委員会(CCITT)及び国際無線通信諮問委員会(CCIR)の一部を統合・再編したもので、電気通信の技術・運用・料金等の標準化に関する研究及び勧告の作成を行い、世界電気通信標準化会議を4年毎に開催することとしている。
 現在は、1993年3月の第1回世界電気通信標準化会議において採択された、パーソナル通信、広帯域ISDN等に関する研究課題について、各研究委員会(SG)における検討等が行われている。
 イ 無線通信部門
 ITUの無線通信部門(ITU-R)は、従来の無線通信主管庁会議(WARC)、CCIR及び国際周波数登録委員会(IFRB)の活動を統合・再編したもので、無線通信の技術・運用等の問題の研究、勧告の作成、無線通信規則の改正、周波数の割当て・登録等を行い、無線通信総会(RA)及び世界無線通信会議(WRC)を、2年毎に同所で開催することとしており、1993年11月に両会議がスイスのジュネーヴにおいて開催された。
 第1回RAでは、13件の勧告案及び各SGの今研究会期(1993年〜1995年)における 413件(うち新規65件)の研究課題が採択された。またこのほか、RA及びSGの運営管理等について助言を与える無線通信アドバイザリー・グループ(RAG)の設置、WRCの準備のための会議準備会合(CPM)の設置及び次研究会期のSG、CPM及びRAGの議長・副議長の任命が行われた(我が国から議長1名、副議長3名が任命された)。
 第1回WRCでは、主として次回のWRCにおいて取り扱うべき議題(無線通信規則の簡素化、移動体衛星の導入促進のための規定の整備等)及び次々回のWRCにおいて取り扱うべき仮議題(GMDSS完全実施に向けた諸措置、将来のデジタル技術の適用を可能とする技術規定の見直し等)が審議され、今後の国際的な無線通信活動の方向性が示されることとなった。
 ウ 電気通信開発部門
 電気通信開発部門(ITU-D)は、従来の電気通信開発局(BDT)を中核として組織体制を強化したもので、開発途上国に対する電気通信開発の促進のための技術協力等を行い、世界電気通信開発会議(WTDC)を全権委員会議から全権委員会議までの間に開催することとしている。
 1994年3月、第1回WTDCがアルゼンティンのブエノスアイレスにおいて開催され、ITU-Dの今後4年間の行動計画(ブエノスアイレス・アクションプラン)の策定、SGの設置等が決定された。
 

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