平成6年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第3章 マルチメディアが拓く情報通信の新たな世界

(1) 米国

 ア NII構想
 米国政府は、[1]相互連結された電気通信ネットワーク、[2]情報機器、[3]情報ソフト・データベース、[4]人材から構成され、すべての米国国民が、必要な情報を、必要な時に、必要な場所で、適正価格で得ることを可能とするために必要な情報通信基盤をNII(National Information Infrastructure :全米情報基盤)として、その構築に積極的に取り組んでいる。
 利用者が膨大な量の情報を手元で簡単に操作できるNIIの開発により、情報革命がもたらされ、例えば電子ハイウェイを通じてオフィスに「テレコミューティング」できるようになり、住みたい場所に住めるようになったり、医療サービスをはじめ主要な社会的ニーズを満たすサービスを必要な時に、必要な場所で、順番を待つことなくオンラインで利用できるようになるなど様々な情報通信サービスが可能となると予想されている。
 このような人々の生活・労働・交流様式に大きな変化をもたらし、国民の生活水準を向上させるNIIを構築するため、情報基盤タスクフォースは1993年9月に「NII行動アジェンダ」を発表し、NIIがもたらす利益を明らかにするとともに、NIIに関する民間部門の取組を補完・強化するための政府の役割として、民間投資の促進、高度な情報資源へのアクセスを全国民に保証する「ユニバーサルサービス」の概念の普及、技術革新と新規アプリケーションの促進、ユーザー主導型の運用の促進等を掲げており、現在情報基盤タスクフォースでは、3つの委員会とその作業部会において検討が行われている。
 イ 通信基盤整備プロジェクトの支援
 地方公共団体・学校・図書館・医療機関等により遠隔教育・遠隔医療等の通信基盤整備計画が進められており、1994年度政府機関歳出法でNIIの一環として新設された「情報基盤補助金」により、通信基盤整備のための計画策定及び購入に対し、補助が行われることとなっている。
 現在、電気通信情報庁では、「情報通信支援プログラム(TIIAP)として、補助金の交付対象プロジェクトを募集中である。また、議会は交付対象としてあわせて22の通信基盤整備計画を推奨している。
 議会が推奨する22の通信基盤整備計画としては、カンザス州立大学の光ファイバによる双方向型遠隔教育ネットワークの構築、ノースカロライナ州政府が州内の大学病院及び軍の病院を光ファイバで接続して行う遠隔医療等がある。
 ウ 超高速通信ネットワークの整備
 情報通信のマルチメディア化の本格化に向けて、大量のデータや画像情報の伝送などに対するニーズが高まっており、ギガビットレベルの超高速通信ネットワーク技術の研究開発が必要となっている。
 そこで米国ではHPCCプログラムの1つであるNREN(National Research and Education Network :全米研究教育ネットワーク)計画により、1996年までに1Gb/sのデータ伝送能力をもつネットワークの構築を目指し、コンピュータ・電気通信・情報の各産業との協力により、超高速通信ネットワーク技術等の研究開発を行う。
 

第3章第2節2 外国政府における取組 に戻る (2)欧州 に進む