平成6年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

2 電波利用の促進

 (1) 電波環境保護の促進

 電波利用の拡大に伴い、免許を取得せずに開設・運用する不法無線局や免許は受けているものの電波法に違反して運用している無線局が、電気通信業務、放送業務又は人命若しくは財産の保護に係る無線通信業務等の重要な無線通信等に妨害を与える事例や不要な電波による障害が多発している。
 このような状況から、多発する混信・妨害をなくし、信頼できる電波利用環境を実現するため、次のような施策を展開している。
 ア  電波監視施設の整備
 5年4月から施行された電波利用料制度による電波利用料を財源として、5年度から不法無線局の取締り等の電波監視を効率的・効果的に行うための電波監視施設を整備している。
 (ア)  遠隔方位測定設備
 遠隔方位測定設備は、地方電気通信監理局に設置されるセンター局及びセンサー局から構成され、電波の発射地点を測定しセンター局の地図上に表示する設備であり、5年度は札幌、東京、名古屋及び大阪に整備するとともに、遠隔方位測定設備と衛星通信回線で接続し不法無線局を探索する不法無線局探索車を併せて整備した。6年度以降は政令指定都市を中心にして順次全国に整備する予定である。
 (イ)  遠隔受信設備
 遠隔受信設備は、遠隔方位測定設備の電波監視区域を補完するための設備であり、電波の発射を確認する設備である。5年度は、旭川、秋田、新潟、富山、宇都宮、静岡、岐阜、奈良、和歌山、岡山、高松、長崎及び鹿児島に整備した。6年度以降は、遠隔方位測定設備の整備が遅れる地域を対象に整備する予定である。
 (ウ)  短波監視施設
 短波監視施設は短波帯以下の周波数の電波の到来方向を測定する設備であり、現有設備の更改及びネットワーク化により電波監視機能を向上することとしており、5年度は石垣島の設備を整備した。
 イ 免許情報告知制度等の導入
 不法無線局の未然防止対策を強化するために、5年6月の電波法の一部改正により、免許情報告知制度が創設され、6年4月から施行された。
 本制度は、「指定無線設備」(不法無線局に使用されるおそれのある無線設備として郵政大臣が指定するもの)の小売業者に対して、無線局の免許取得が必要な旨等を指定無線設備の購入者に対して告知する義務を課しており、この告知により無線局の不法開設の未然防止を図ろうとするものである。郵政大臣は、告知義務に違反した小売業者に対し、違反行為を是正させるための指示を行うことができることとなっており、またこの指示をするのに必要な限度で、報告徴収及び立入検査ができることとなっている。
 また、本制度の導入とともに電波法違反の罰金額の引上げ等が実施された。
 ウ 不要電波問題に関する対策
 無線機器、電子機器等から放射される不要電波により、電子機器に与える不要電波障害が増加しており、不要電波の抑制、不要電波に対する妨害排除能力(イミュニティ)の向上が重要な課題になっている。
 電子機器等の製品からの妨害波等の規格、測定法については、CISPRにおいて検討されており、5年9月に開催されたCISPRロッテルダム会議においては、既存製品の範疇に属さない製品に対して適用する妨害波の共通規格案の作成作業が終了し、今後国際規格とする手続きがとられることになった。また、情報技術装置のイミュニティに係る具体的な試験方法、1GHzを超える周波数の不要電波障害についての審議に着手等することとなった。
 国内では、CISPRの国際規格を基に電気通信技術審議会答申において妨害波等の国内規格の策定等を積極的に進めている。5年度は「車両、モータボート及び火花点火エンジン駆動の装置からの妨害波の許容値及び測定法」の答申を得た。
 また、不要電波問題に関する協調を図ることを目的に関係省庁、関係業界団体、学識経験者等で構成する「不要電波問題対策協議会」を設置し、技術的検討、情報の収集、関係審議機関における審議の支援、不要電波問題に関する周知啓発活動を行っており、5年度は、電話機の伝導イミュニティ評価に関する測定系の検討を行った。

第2-2-2図 電波監視施設のイメージ図

 

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