平成4年版 通信白書

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むすび

 3年度は、新事業者のシェアが増加するなど電気通信市場における競争が一段と高まるとともに、通信料金を含めたサービス面においても多様化、高度化が進展した。放送においても、ハイビジョン試験放送の開始等、多メディア・多チャンネル化の動きが著しい1年であった。
 分野別にサービスの動向をみると、国内電気通信分野については、自動車・携帯電話、無線呼出し、高速デジタル専用線サービス等の進展が著しく、新事業者の契約数及びシェアも順調に伸びている。電話サービスについても、2年度の県間通話において、新事業者は前年度比74%の大幅な増加を示し、県間通話全休に占めるシェアも6.3ポイント上昇して15.9%となるなど、電気通信市場における競争原理の導入による効果が着実に浸透しつつあることを裏付けた。通信料金については、3年度においては、専用サービス、無線呼出しサービス等で値下げが実施されるとともに、4年4月からはNTTの電話サービス及び日本移動通信(株)の携帯電話サービスにおいて選択制の通話料金が実施され、加入者のニーズ、利用実態に合わせた料金設定の多様化の動きが進展している。一方、国際電気通信分野については、3年度には国際VPNサービスや国際線航空機からの国際電話の提供が開始されたほか、料金の低廉化も進展し、国際自動ダイヤル通話料金では国際的にも低廉な水準にあるなど、より利用しやすい身近なサービスとなってきている。
 放送分野においては、ハイビジョン試験放送の開始、中波ステレオ放送の開始等、放送の新時代の到来を告げる新たな動きがみられたほか、4年4月からは通信衛星を利用した放送が開始されるなど、多メディア・多チャンネル化の動きが加速している。郵便事業についても、内国郵便物数が堅調に増加している。
 情報化の動向をみると、全国、地域及び国別の情報流通の各レベルにおいて、電気通信系メディアによる情報供給が大きく伸びているほか、家庭生活及び産業経済の各分野の情報化も多様化、高度化が進んでいる。
 近年、通信・放送分野をはじめとして様々な分野で電波の利用が急速に進展しており、電波利用は、ゆとりと豊かさが志向されるこれからの国民生活を充実させるとともに、地球市民時代における我が国の責務に対応するために不可欠となっている。電波は、地域間情報格差の是正及び地域からの情報発信の強化に資することにより地域の活性化に貢献するほか、国境を越えた情報の共有化による国際間の相互理解の促進にも大きく貢献するものである。今後、一層の電波利用の増大が予測される中、膨大な免許申請を迅速に処理する体制の構築が必要となっている。
 一方、電波は限りある国民共有の資源であり、有効な利用が図られなければならない。このため、新たな周波数資源の開発、利用周波数の狭帯域化、デジタル化等の技術開発が精力的に進められている。しかし最近では、割り当てられた周波数以外の電波を発射し混信、妨害等を引き起こす不法無線局が急増するなどの問題が生じており、電波監視体制の強化が求められている。
 このような状況にかんがみ、郵政省においては、電波の有効利用の促進に向けて、電波監視システムの整備、コンピュータを活用した免許処理システムの導入を図ることとしており、これらに必要な電波行政経費の増大に対応するため5年度からの電波利用料制度の導入に向け、所要の準備を進めているところである。
 国民一人ひとりが携帯電話端末を保有し、「いつでも、どこでも、だれとでも」通信を行えるパーソナル通信時代の到来に向けて、個人が他とのかかわりを十分に意識して電波の利用秩序を守り、すべての国民が安心して電波を活用できる環境が創出されることが望まれる。

 

 

第3章第5節3 国民共有の資源としての電波の有効利用の促進 に戻る 付表 に進む