平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(2)放送事業

 一度に多数の人に情報を伝達する放送は、幅広く多方向にふく射する電波の特性を利用することによって成り立っており、電波の特性の違いに応じて、各種の放送事業が行われている(第3-1-8図参照)。
 ア 地上系の放送
 中波放送は、小型で簡便な受信器で手軽に聴取できることがら、全国的に普及し広く国民生活に浸透している。中波放送は、NHKが2系統の放送を行っているほか、民間中波放送事業者47社(うちテレビ兼営36社)が、3〜1系統の放送を実施している。
 短波放送は、NHKが国際放送を行っているほが、(株)日本短波放送が経済市況、海外市況など経済専門の全国放送を実施している。短波帯の電波には、電離層と大地との間で反射を繰り返しながら伝わる特徴があり、中波よりも長距離に届くことがら、世界各国がらいろいろな放送が送信されている。
 FM放送は、従来の中波放送に比較して高音質・高品質の放送メディアとして、昭和44年の放送開始以来、音楽放送を中心に、広く国民生活に定着している。現在、NHKが県域単位で全国1系統の放送を実施しており、民間放送は、3年度末現在36社が県域を原則として、2〜1系統の放送を実施している。また、放送大学学園が関東地方を対象にFM放送を実施している。
 民間放送事業者めFM放送については放送普及基本計画において、1系統の放送が全国各地域においてあまねく受信できること、ただし、全国の主要地域においては、2系統の放送が各主要地域においてあまねく受信できることとされており、放送の計画的な普及が進められている。
 テレビジョン放送は、現在、NHKが全国各地域において2系統の放送を実施しているほか、民間放送は3年度末現在115社が全国各地域において6〜1系統の放送を実施している。また、放送大学学園が関東地方を対象にテレビジョン放送を実施している。
 NHKの放送受信契約数の推移は、第3-1-9図のとおりである。
 民間放送事業者のテレビジョン放送においても、放送普及基本計画において、4系統の総合放送が全国各地域において、あまねく受信できること、ただし、全国の主要地域においては、5系統以上の放送が各主要地域においてあまねく受信できることとされており、放送事業者数は増加傾向にある。
 さらに、デジタル技術等の技術開発により、テレビジョン放送等の電波に異なる信号を重畳して放送する多重放送が可能となり、昭和53年以来、テレビジョン音声多重放送によるステレオ放送、2が国語放送やテレビジョン文字多重放送によるニュース、天気予報等各種情報の文字、図形等による提供が実現した。
 また、テレビジョン放送の高画質化も可能となり、EDTV(クリアビジョン)が元年より放送されているほが、第2世代EDTV(注)の開発も進められている。
 イ 衛星系の放送
(ア)放送衛星による放送現在、放送衛星3号(BS-3)により、NHKが2チャンネル、日本衛星放送(株)が1チャンネルのテレビジョン放送を、衛星デジタル音楽放送(株)がテレビジョン音声多重放送を行っているほか、(社)ハイビジョン推進協会が1チャンネルの試験放送を行っている。
(イ)通信衛星による放送
 通信衛星を利用する放送は、元年6月の放送法等の改正による新しい放送制度の導入により実現が可能となった。
  通信衛星を利用するテレビジョン放送について、郵政省は4年2月、6社6番組について委託放送業務の認定を行ったところであり、また、通信衛星を利用した超短波放送(PCM音声放送)も3年2月及び同12月に6社18番組を認定しており、これら通信衛星を利用する放送は4年4月から順次サービスが開始されている。

第3-1-8図 放送における電波利用状況

第3-1-9図 NHKの放送受信契約数の推移(テレビジョン放送)

 

 

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