平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(2)地域間の文化交流面をサポートする電波利用

 電波の、特に衛星を利用した場合のメディア特性としては、広域性、同報性、広帯域性、機動性等が挙げられるが、これらの特性は情報の一極集中という状況の中で、地方においても大都市と同質の情報が、瞬時に受け取れるという状況を可能とするものである。特に、映像情報の伝送については、情報源の地理的拡大、地域における人材不足の解消やレベルアップ等という面において、その効果が期待されており、以下のような事例がみられている。
 ア ふるさと文化等の交流と電波利用
 衛星を利用した映像情報伝送の一般的な例としては、各種コンサート、スポーツ、演劇等の衛星中継が既に試みられているが、衛星を利用することにより、各種文化等の地方への紹介も容易となり、地域の活性化にも役立つものと考えられる。
 郵政省においては、3年4月より郵便局衛星通信ネットワーク(P-SAT)の運用を開始しているが、郵便局の窓口ロビー等に設置されたP-SATの端末装置により、地方公共団体の作成した地域紹介ビデオの放映等を通じ、地域の特産物、地場産業、観光情報等のふるさと情報を映像により全国へ伝えており、ふるさと文化等の交流を衛星を利用して行う好例と考えられる。
 イ 各種教育に関する映像情報の伝送
 各種教育情報の伝送については、例えば、一部大学等において、遠隔校舎間で講義模様の伝送が行われているほか、企業内研修、地方における医師の生涯学習等の事例において、衛星や一部マイクロウェーブ回線を利用した映像伝送システムが、導入、実験あるいは検討されているなど、地域を越えた高レベルの教育の実現が、衛星を利用することにより可能となってきている。
 ウ イベント用放送局の利用
 「イベント用放送局」は、博覧会等の開催期間中に、臨時かつ一時的に開設される放送局で、昭和63年の放送法の改正に伴い策定された制度であり、地域社会の特色を生かした電波の利用という面で代表的なものの一つである。
 過去の利用事例をみると、元年3月から9月に開催された「アジア太平洋博覧会(福岡市)」以降、2年の「国際花と緑の博覧会(大阪市)」まで各地で開催された博覧会での利用や、2年に開催された「ニッポンカップ国際ヨットマッチレース(神奈川県葉山町)」等のスポーツ大会での利用、あるいは3年の「善光寺御開帳フェア(長野市)」といった文化面での利用が行われている。

 

 

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